160613和田誠さんという日本を代表するイラストレーターがいます。最近、和田さんの息子でミュージシャンの和田唱さんが女優の上野樹里さんと結婚されたので、テレビで名前を目にした人も多いかもしれませんね。
和田誠さんといえば、タバコのパッケージや雑誌のデザイン、多くの作家の著書の装丁など、様々なお仕事をされていますが、色んな人の似顔絵を描いていることでも有名です。これがまた、何ともよく似ていて、一目で誰か分かります。緻密に描き込んでいるわけでもない、少ない線で描かれたシンプルな絵なのに、なぜこんなに似ているのか?
それは、その人の顔の特徴の中でも、一番重要なところを、ズバリ的確にとらえているからなのですね。目的とするものを表現するために、絶対に必要な部分と、省いても良い部分を見分ける力がひときわ優れているのでしょう。だから、一見簡単に見える絵なのに、とてもソックリな似顔絵になる。
 
この「要点をとらえる」ことって、勉強にもとても大切ですよね。みんながいつもやっているノートまとめも、授業での先生の話や参考書の内容を全部書くわけにいかない。その中で重要な部分がどこか、自分で判断して書いていかないと、後で見返した時に役に立つものにならないし、頭の中にきちんとインプットされないでしょう。また、テストでも、重要な部分を抜き出したり、要点をまとめる問題に出くわしたりもする。そんな時、素早く物事の要点をとらえる力が備わっていたら、普段の勉強だってテストの点数だって、ワンランクアップできると思いませんか?要点がとらえられれば、問題を解くスピードだって上がりますね。

ただし、たくさんの情報の中で、重要な所を過不足なく取り出して整理していく能力というのは、簡単に身につくものではなく、たくさん量をこなすことで鍛えられ、徐々に身につけていくものです。和田誠さんも、絵が好きで人の顔を描くのが楽しくて、たくさん描いたからこそ、要点を見抜く力が養われ、シンプルなのに味のある似顔絵が描けるのだと思います。
勉強だって、たくさんやった分だけ、要点をしっかりとらえられるようになり、いつでも自然に発揮できる力になっていくのです。

さあ、今年も夏がやってきます!みんなにはたっぷり時間があります。その時間を活用して、教室でも家でも、どんどん鉛筆を走らせてください。色んな問題に挑んだ分、量をこなした分、要点をとらえる力が鍛えられていくはず。そして、その力が、君たちの勉強の質を確かにアップさせていく武器となっていくはずです。