日本を代表するおとぎ話である「桃太郎」は皆さんよく知っていると思います。
実は「桃太郎」伝説は全国にあることを知っていますか?
その中でも香川県高松市に伝わる「桃太郎」のお話をします。
なぜこの話をするかというと、今、日本の考古学を大きく揺るがそうとしているある一人の人物にぶち当たるからです。
高松の「桃太郎」は桃から生まれてはきません。桃太郎は孝霊天皇という天皇の子(稚武彦命(わかたけひこのみこと))として登場します。桃太郎は自分のお姉さんのもとに行くために旅に出ます。その途中の高松できれいな女の人が川で洗濯をするところに出会い、一目ぼれします。そしてその女の人と結婚をして高松で暮らし始めます。
平和に暮らしている桃太郎の村に、海賊(=鬼)がやってきて悪さをします。そこで桃太郎は自分の仲間たちとともに海賊の本拠である女木島(めきじま)に海賊を退治しに出かけ、海賊の大将を倒します。その後鬼に奪われた財宝を持って村に戻ったのですが、海賊の残党が桃太郎に復しゅう戦を挑みに来るのです。それも退治した桃太郎は、奥さんとともに幸せに暮らしたということです(桃太郎が暮らしていたとされている地区は今「鬼無(きなし)」というそうです)。
以上が高松に伝わる桃太郎の伝説なのですが、最初にもいったとおり、この話には日本史の教科書を変えてしまうかもしれないある人物が出てきます。それは桃太郎のお姉さんです。
もしこの人が実在の人物なら、天皇家の系譜をたどると「倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと)」という人物になります。この人のお墓は奈良にある箸墓(はしはか)古墳といわれています。
実はこの箸墓古墳、今考古学では「この墓は卑弥呼の墓なのではないか」といわれていて、非常に注目されているのです。実際に弥生時代中期ごろに作られたとされている銅の鏡が多く出土していて、卑弥呼のことが書かれている「魏志倭人伝」の内容によく似ているそうです。とすると、桃太郎は卑弥呼の弟ということになります。
このお話は伝説ですので、正しいかどうかはわかりませんが、どうですか?自分の知っているお話が歴史に深くかかわっているかもしれないということがわかると、面白く感じませんか?
このようにして、自分の知っている事柄をすこし調べてみるだけでも、多くの新しい発見があり、気づきがでてくるのです。そうやって歴史だけでなく、さまざまな学問は深まっていったのです。
特に歴史が苦手だと思っている皆さん。日本の歴史は本当に奥深く面白いのです。ぜひ、苦手という殻を捨てて、歴史に向き合ってみてください。