自転車競技の一つに「ダウンヒル」があります。

夏場のスキー場など、急斜面の荒れ地につくられたテクニカルなコースを高速でいかに速く走破するかという単純な競技です。

はじめてダウンヒルの大会に出場したときのことです。たいした練習もせず、ひどく軽い気持ちで出場した大会でした。それなのに、とにかく緊張したことを覚えています。自転車はマウンテンバイク、前後のサスペンションは当たり前で、肘・肩・胸・脊椎を保護するプロテクターにフルフェイスヘルメット、口にはマウスピース、手にはグローブをはめます。ダウンヒルの大会では通常は一人ずつスタートしタイムを計測していきます。スタート地点には「スタート台」があります。スタート台は一段高く、この場所から岩や木の根っこでゴツゴツしたコースを見渡すことができます。

心の中では「どうせ速く走れやしない」「誰も期待していない」と思っても、順番が近づくにつれ緊張感はどんどん高まっていきます。スタート地点の人が背中をたたいてスタート。練習とは比べものにならない緊張感からまったく思うようにレースをすることが出来ませんでした。

練習でできないことはもちろん本番では出来ないけれど、練習でできていることも本番では出来ませんでした。

ほんの数分の「勝負」ですが、自分が「いける」「できる」という強い気持ちで挑めなかったことが残念で仕方ありませんでした。原因はもちろん練習不足です。

さて、みなさんも「勝負」をしなければいけない場面があります。それは部活の大会、学校のテスト、受験、検定試験、もしくはクラスの前での発表なんかもそうかもしれません。どれだけ軽い気持ちで挑んだとしても、必ず緊張します。強い気持ちで「勝負」するためには「練習すること」と「練習する方法を考えること」です。どちらも積み重ねが大切です。その積み重ねが緊張感をおさえ、自信を与えてくれます。自分に自信を与えてくれるのは自分自身です。

そして「勝負」の日は自分では決められません。ある日突然決まります。部活の大会や学校のテストがそうだと思います。ですから文句を言わず、「勝負」の日が決まったらすぐに行動です。

その日から練習あるのみです。