今週は先生が大学に入学してから間もない頃の話です。
今でも鮮明に覚えているのは、地球が丸いことを示す証拠として『高い山に登ると遠方まで見える』事を取り上げていたこと。もちろん、地球が丸いことは知識としてよく知っていましたし、高い山から見た雄大な風景に感動した経験は何度もありました。
しかしながら、その2つを論理的に地球の形と関連づけて考えたことは一度も無かったのです。
現象と現象を論理で結びつけて、新しい認識に導く科学的思考のおもしろさを教えてくれました。

図1のようにもし地球が平坦であれば、山の高さと関係なく無限の彼方まで見えるはずです。もちろん途中に障害物が話は別ですが、地面が平坦であるとすれば、この推論は『高い山に登るほど遠くまで見える』という体験に反しています。ゆえに、地球は平坦ではないのです。

地球が丸い場合には、図2に示されているような山頂から見ることの出来る範囲(視野の広さは)は、山頂から伸ばした直線と地表面との接点までです。この点を重ねた線が、地平線や水平線です。したがって、地平線や水平線までの距離(L)と山の高さ(h)との関係は、地球の半径をR(=6400㎞)とすると、三平方の定理を使って、次の式を導くことが出来ます。

この式をLについて解くと

となります。
ところで、地球の半径Rに比べて山の高さhは大変小さいので、上の式は次のように簡単にする事ができます。

そうすれば次のような結果が得られて、『高い山ほど遠くまで見える』事がより実感をもって理解できます。

これに加え、数年前の高校入試勉強会で、東進へ通う高校1年生が話していた言葉が今も忘れられません。
『勉強はつまらないことが多いと思います。僕も高校受験の時を思い返せば、つまらない勉強ばかりしていました。しかし、高校の勉強はとても興味深いものが多いことを分かりました。例えば水の化学式はH2Oですが、HO2ではダメなのかとかを追求していくこと等。高いレベルでの勉強のためにつまらない勉強、つまり基礎勉強は必要であると思います。きっと社会に出たときの仕事もそんなものだと思います。だから、今の受験勉強は決して無駄にはならない、また将来の自分の財産にもなることは間違いないので、本気で勉強してください。将来の自分のためにもお願いします。<高校受験合格はゴールではなく、新たなスタート>とはそういうことだと思います。』