140818先日、高校のときの同窓会があり、久しぶりに地元の友達と会ってきました。
これは、そのときに友達から聞いた、ある人のお話です。

その人には中学生の娘さんがいます。その子は幼いときに病気を患い、車イスがないと生活が出来ないのです。
ある日、病院に行ったときのことです。普通であればお父さんがいつも送り迎えをしてくれるのですが、その日は出張だったので、仕方なくバスで行ったそうです。その帰りでの出来事。

その日のバスは、座れないほどではないのですが、乗客が多かったそうです。娘さんは、当然車イスでしたから優先席のほうへ行き、座席に移動したのです。
車イスから移ったり車イスをたたんだりするので時間がかかるのですが、その間バスは停まって待ってくれていました。そして、お母さんは車イスがありますから、人の邪魔にならないように出来るだけ端に寄って立っていました。

いざバスが動き出すと、後ろのほうに座っている女性二人組のお客さんから、次のような会話が聞こえてきたそうです。
「迷惑よねえ。こっちも急いでいるのに。」
「ホント。車で行けばいいのにさ。じゃなかったらタクシーがあるのに。」
「まわりの迷惑を考えないのかしら。」
お母さんも申し訳なく思っているのです。バスに乗るときに、わざわざ「すみません」と皆に言って乗っているのですから。

しかし、容赦のない言葉に娘さんもその場に居づらくなり、
「お母さん、降りよう。」と涙目で訴えてきたそうです。
お母さんも、悔しさと悲しさで居づらくなり、次で降りようと降車ボタンを押そうとしました。
すると、バスは信号待ちでもないのに停車し車内放送が入りました。
「お客さん、申し訳ないんだがここで降りてください。」と。

その親子は、
「本当にすみません。今すぐ降ります。」といい、降りる準備を始めたのですが、
「いやいや、お母さんたちではないですよ。その後ろのお二方です。人に迷惑をかけるような方のご乗車はご遠慮いただいています。ここで降りてください。」
二人の女性客は、何かと言い返したのですが、運転手さんはガンとして聞き入れず、結果として女性客二人はその親子をにらみつけながら降りていったそうです。

親子が目的地で降りるときには、周りのお客さんが手伝ってくれたそうです。
親子は何度もお礼を言いましたが、運転手さんは、
「嫌な思いをさせて申し訳ありませんでした。お大事にね。」
と逆に謝られたそうです。
二人は感謝の気持ちでいっぱいで、涙がでてきたそうです。

この話しを聞いたとき、先生は「この運転手さんスゴイ!」と思ったのと同時に、「自分に出来るだろうか?」と深く考えさせられました。頭ではわかっていても行動にまで起こす勇気はないかもしれないなと、反省しました。
今の世の中、逆ギレされて自分に被害が及ぶこともありますから、一概には言えないかもしれません。しかし、皆さんにはこの運転手さんのように、弱者の立場になって物事を考え、勇気をもって行動できる大人になって欲しい、と思っています。