美しいと言う字の由来の話です。
羊が大きい、大きな羊と書いて「美」しいとなります。
漢字の語源は諸説ありますが、古代中国では羊は貴重だったため、大きな羊は美しいと評されたとか。

今回はもう一つの「大きな羊」のお話です。
この話はお世話になった私の上司が、皆さんのように卒業する生徒に向かって
「あなたたちにこういった人間になってほしい」
と卒業生への最後のメッセージとしてお話していた内容です。
私も毎年最後に集まるであろう生徒に向けてこのお話をします。

古来遊牧民たちは羊をつれて生活をしています。
羊は臆病な動物でもあり、常に群れをなして生きています。
その群れの中には、親子羊、兄弟羊、まだ生まれたばかりの赤ちゃん羊もいます。
草をたくさん食べながら、家族のような大きいコミュニティで愛を育んでいました。

その平穏な羊の生活の最大の天敵は「狼」です。

そんな時、その羊たちを狙って狼の群れがやってきました。
羊たちは一斉に逃げ惑います。
必死の思いで、子供羊達を庇いながら、親羊達は一生懸命逃げます。
狼達は容赦無く、羊の群れの周りをグルグル回り、羊の群れを小さく固めて迫ってきます。
もはやこれまで!と一網打尽に狼に襲われそうなったその時、羊の群れの固まりから飛び出し、逆らって走る1匹のひときわ大きな雄羊がいました。
群れのリーダーです。

狼たちは驚き一斉にその大きな羊に襲いかかります。
その隙に群れの羊たちは狼と逆の方向に逃げることが出来ました。
リーダーの羊は狼に敵うわけもなく、大きな羊とはいえ狼達に1匹の羊が敵う訳もありません。

最後まで血を流し、戦い抜き死んでいきます。
自分以外の全ての羊を守って。
血で真っ赤に染まった最後を遂げる姿を見た遊牧民らは、尊敬と感謝の意味をこめて「美しい」と称えたといいます。

ここでの教訓は、自己犠牲の美談ではありません。
見た目だけの美しさだけではなく、「本当の美しさ」とは、の本質があると思います。
これから皆さんが、たくさん勉強して、色々学び、能力や人間力を高めていくと思います。
またそうなってほしいと思います。
いずれ社会に出て、時に「力あるもの」は組織や周りを引っ張っていく存在、「リーダー」になっていくことでしょう。
その力を何のために使うか?なぜその力を持つ存在なのか?その時に考えてほしい。

力強きものが、その力を誇示するものではなく
その能力や立場を自分の為だけに使うのではなく

周りの為、周りの人のために、体(身)を挺して、守ってあげるような、優しさと強さを備えた、美しい大きな人(たいじん)になってほしいと思います。