いよいよ8月も下旬に入り、皆さん充実した日々を送っていることだと思います。
夏休みは、お祭りや旅行など、勉強以外にもいろんなことが目白押しです。となれば、皆さんまずやりたいこと、楽しいことから始め、面倒くさいこと、宿題や勉強に対して後ろ向きになってしまいがちです。
そこで皆さんに、これからの勉強に望む上で、持ってほしい気持ちについて話をしたいと思います。

まず、簡単なテストをします。
今、皆さんは、クタクタになってお家に帰ってきました。早速、冷蔵庫に自分の大好きな飲み物を取りに行きます。自分の大好きな飲み物がそこにはあります。それを取り出すと、コップには大好きな飲み物がちょうど半分入っていました。
さて、皆さんはそれを見て、
「もう半分しか入っていない」と考えるか、「まだ半分も入っている」と考えるか。
まず決めてみてください。どうでしたか?

実はこのテストは、その人がポジティヴかネガティヴかの性格をみる心理テストなのです。もちろん「もう」と考えた人はネガティヴ。「まだ」と考えた人はポジティヴです。
断っておきますが、ネガティヴが全て悪いというわけではありません。ネガティヴは言うなれば慎重派。最悪のことを想定して物事を考えることの出来る人です。
ただし、勉強に関しては、ぜひ皆さんポジティヴな気持ちを持って臨んでほしいのです。

このことは勉強をしていて、壁にぶち当たった時に力を発揮します。
難しい問題が出てきた時、「もう」だめだ、と諦めて、全く手をつけずに終わるか。
「まだ」考えてみよう。出来ないまでも最後まで考え尽くせるか。
その違いです。

講習会で出される問題も出来る問題ばかりではありません。時には今の自分では、決して解けない問題もあるでしょう。
でも考えてみてください。講習会では、その難しい問題が解けるようになるんですよ?
むしろ出来ない問題が出てきたら、「僕」は「私」は、講習会中にこれが出来るようになるんだ。と、前向きに立ち向かって欲しいのです。

皆さんが大きく成長する夏。最高の講習会にしていきましょう!

先生は落語が好きです。話がたくさんあり、また、落語家によって得意としている持ちネタが違います。ネタという言葉は、お鮨でも使います。「たね(種)」が正しいのですが、逆さにして洒落(しゃれ)た言葉です。じゃあ、洒落の語源は・・・なんて、つなげて調べていくと楽しいです。あっそうそう、洒落の「洒」は「酉」ではなく「西」です。

語源を調べていくと、ことわざ、四字熟語などは中国の昔の話に由来しているものが多く、今度は中国の歴史や登場人物に思いをはせ、三国志が、孔子が・・とか、調べていきます。

当然、日本に由来したものも多いです。例えば「日本刀」。実は、先生はこれまた大好きです。何本か持っています。あっと、数え方を間違えました。刀は、「ほん」ではなく、「ふり」です。芥川龍之介は「振り」と泉鏡花は「口」と書きました。美術館・博物館に行くと「口」で書かれています。でも、読み方は「ふり」です。

数口のうちの1口は山城守藤原国清が作った刀です。日本刀は銘が彫られているものが多く、作者や一派がわかります。例えば、「左(さ)」と彫られていていれば左文字という一派が作った刀です。左のなかで有名なものは、桶狭間の戦いのときに今川義元が所持していた刀があります。義元は負け、織田信長が戦利品として持つことになりました。そして「永禄三年五月十九日義元討捕刻彼所持刀」「織田尾張守信長」と銘を加えました。そして、本能寺の変の後、豊臣秀吉、徳川家康と渡っていきました。まさに、歴史の証人です。先生の持っている国清の刀は、朝廷から山城守をいただき、刀に菊の紋章を入れることを許された人が作ったものです。菊で有名な刀となると新撰組の沖田総司の菊一文字です。しかし、実際は一文字派に菊を入れたものは確認されておらず、あったとしても、その当時もかなり高値で買えません。この話は、『司馬遼太郎』の『新選組血風録』から広まった話で、沖田総司は国清を所持していたというのが通説です。

話がそれました。好きな話をしていると止まりませんね。

刀をもとにしている言葉では、
「元の鞘(さや)におさまる」
鞘は刀にあわせて作ります。ちがう鞘では合いません。
「反りが合わない」
鞘と刀の反りがあわず入らないことです。
「焼きがまわる」
刀に焼入れをする際に失敗し、切れない刀になることです。
「付け焼き刃」
切れない刀に鋼の刃を付け足した、間に合わせの刃のことです。
「鎬(しのぎ)をけずる」
刀は、刃で刃を受けそうですが、本来は「しのぎ」で受けます。そうしないと、すぐに刃がかけます。
「切羽つまる」
切羽とは、柄と鞘に添える板金。つまると、刀が抜けなくなります。
「土壇場」
これは、刀ではありませんが、戦国の世、罪人などを 処刑する場所のこと。
「相槌(あいづち)をうつ」
鍛錬で師匠の打つ槌に合わせて弟子が槌を入れることです。
・・・ほかにもたくさんあります。

じゃぁ、刀はどうやって作るのかなと調べていくと、これは、理科の世界です。鉄にもいろいろな種類があり、火の入れ方、冷まし方で、違う性質をもったものが出来て・・・むずかしくなってきましたね。しかし、調べている人にとっては、おもしろくてしかたがないのです。

まずは自分で調べてみてください。知力というパワーがつきます。そして興味を持ってください。パワーが2倍になります。さらに、好きになってください。パワーが3倍になります。つなげて調べられるようになればパワー10倍です。嫌いだ、苦手だと決めて避けているのは自分です。わからなければ調べてみることから始めましょう。そうすると、新しい世界が広がってきますよ。知るということは楽しいことなのです。

そうそう、先生、最初に落語の話を少ししました。落語の世界では、本題入る始めの話を「まくら」といいます。なぜ、「まくら」と言うのかというと・・・・・・。

そうですね。う~ん。もっと話したいですが、ここらで朝礼を終わっておきましょう。
眠くなるといけませんから。

みなさんがふだん使っている「日本語」は本当に正しいですか?間違った使い方をして、損をしているかも知れませんよ。また、日本人として深い知識を身につけてほしいのも事実です。欧米の人も「日本語」はとても難しいとよく言います。今回は、その「日本語」のお話です。

①重ね言葉
テレビでインタビューを受けている人が「あとで後悔しないように頑張りました」と言っているのを聞いたことはありませんか。わかりますよね。後悔の「後」は「あとで」という意味ですから、あえて「あとで」をつける必要はありません。また、受験生が年末になって「最後の追い込みをかけます」と言うのを耳にすることがあります。これも、「追い込み」が最後の力を振り絞ることですから、「最後の」は不要なのです。その他、「電車が発車する」「真っ赤に赤面する」なども仲間です。さあ、重ね言葉の最後は「元旦の朝は早起きして初日の出を見に行った」です。どこがおかしいかわかりましたか?「元旦」というのは「元日」の朝のことです。したがって、「朝」がいらなかったわけです。

②賀寿の常識
「賀寿」というのは長寿のお祝いのことです。もっとも有名なのは六十歳の「還暦」でしょうね。六十歳になって生まれた年と同じ干支(えと)に還るということから「還暦」になったのです。次が七十歳の「古希」です。そして、七十七歳の「喜寿」。「喜」の草書体は 七 となり七十七と読めそうですね。次は八十歳の「傘寿」です。これも「傘」の草書体「仐」が八十と読めます。ここまでくると、次の八十八歳を「米寿」と呼ぶのはわかりますよね。そして、九十九歳の「白寿」、百八歳の「茶寿」、百十一歳の「皇寿」と続きます。

このように日本語は、難しい言語ですが美しく、奥深い言語であることも事実。日本人であるみなさんが、この美しい「日本語」を正しく使いこなし世界に広めてくれるとうれしいです。