161128みなさん「ヤママユガ」を知っていますか?
ヤママユガは、クヌギやコナラなどの葉を食物として日本各地の広葉樹林に生息し、卵→幼虫→蛹→成虫と完全変態をする蛾の一種です。幼虫では4回ほどの脱皮を繰り返し、蛹となるときに繭をつくります。その繭からとれる生糸はとても丈夫で、色が薄いものはその強度を利用して、昔は釣り糸などにも利用されていたそうです。

成虫となるときに繭からどのように外に出てくるのでしょうか?
強固な繭を喰い破って、すんなりと外に出てくるのではありません。口のようなところから出る分泌物で繭を少しずつ溶かし、柔らかくなった小さな穴を足でかき分け、身をよじりながら長時間かけて出てくるそうです。
成虫となるために繭から出ることはとても大変なことなのですね。

では、出てくる前に繭を人工的にハサミで切るなどして、その手助けをしたらどうなるでしょうか? そのことを実験された方の報告によると、成虫での生存期間が、半分ほどになるものが多くなったとのことです。

受験生のみなさんは、憧れの志望校への挑戦が刻々と近づいてきており、今が本当に大変な時期だと思います。逃げ出したくなる気持ちが時々現れたりしている人もいるでしょう。でも、決して負けないでください。この山場を乗り越えることは、これからの人生において、とてもとても重要なことなのです。
ぜひ、自分の殻は自分の力でこじ開けてください。きっと、素晴らしい将来が待っています。

161121皆さん、寝ているときに夢をみますか? よく夢をみるという人もいれば、夢なんてなかなか見ないよという人もいるでしょう。

夢についての研究は古代から続けられてきたようで「夢は神や悪魔といった超自然的存在からのお告げである」という考え方は世界中にあるそうです。古代ギリシアでは、夢の送り手がゼウスやアポロという神々だと考えられていました。『旧約聖書』でも、神のお告げとしての夢は豊富に登場します。なんと、バビロニアでは夢の解釈技法が発達し、夢解釈のテキストまで作られていたそうです。

ところで、夢は浅い眠りの時に見るとされていますが、睡眠のメカニズムについてはまだ不明確な部分が多く、現代でも研究対象となっています。夢を見ることは現在でも不明な点が多いのです。

そんな夢ですが、私は中学生のときにこんな話を聞きました。「夢でさえ自分の知識の範囲内でしかみられない」という話です。どういうことかというと、自分が知らないことや自分の知識にないことが、夢に出てくることはないという意味です。

私はショックを受けましたが、言われてみれば当然のことです。皆さんは、今までみた夢の中で、自分の知らない言語で会話する登場人物はいましたか? 夢で見たこともない乗り物に乗ったり、新種の生物が登場したりしたことはありますか? 結局、夢でさえも自分の知識は超えられないのです。逆にいえば、自分の知識や見聞、経験が広がれば、夢も広がるということです。

皆さんも、勉強することで知識を増やし、機会があれば旅行や合宿、留学にも挑戦することで見聞や経験を深めませんか。夢の枠が広がり、人生も豊かになること請け合いですよ。

161114今日は猫のお話から始めたいと思います。みなさん、猫が前足をたたんでお腹の下にしまって丸くなっている姿、一度は見たことありませんか?お家に猫がいる人ならよく知っているかもしれませんが、あの姿、「香箱座り(こうばこずわり)」と呼びます。(猫がこの香箱座りをしているのを見て「香箱を作ってる」とか「箱座りしてる」とか言ったりもします)ちなみに、香箱座りをしている時は、猫はとてもリラックスしています。足をすっかり体の下に入れてしまうので、すぐ立ち上がれない姿勢になる。つまり、周りを警戒していないのです。

ふと“そもそも「香箱」って何?”と思い、調べてみました。すると、読んで字のごとく、昔から茶道などで用いられる「お香を収納するふた付きの箱」のことでした。猫が前足をたたんで丸くなっている姿がその「香箱」に似ていることから、そう呼ばれるようになったというわけです。なるほどなるほど。
でもちょっと待てよ、「香箱(こうばこ)ガニ」っていうカニがいますよね。北陸で獲れるものだけをそう呼ぶらしいのですが、メスのズワイガニのことで、サイズはオスよりもやや小ぶり。お腹と甲羅の中に卵がたっぷり詰まっていて、とてもおいしいのだとか…。カニも箱に似ているのでしょうか?甲羅のところがなんとなく箱のふたっぽい気もするけど、猫とカニに同じ例えが使われているのが、なんとも不思議です。
これも由来が気になり調べましたが、いろんな説があるようで、決まった答えはないようでした。卵=子を持っているから「子箱」からきている、日本海で獲れるため、日本海の香りを内に秘めているから香箱という、「こうばく」という小さくかわいいものを指す方言からきている──など、どれも“なるほど”とうなずけます。「香箱」という言葉でも、猫の場合とまったく同じ意味合いで用いられているわけではないんですね。猫の座り方とカニの種類が同じ言葉で表現されているのはなぜだろう?という、ささいな疑問から、ちょっと意外な答えが得られました。

テレビや本、インターネットでも多くの言葉があふれていますから、若くてするどい感性をもったみなさんなら、もしかしたらもっとたくさん、言葉の意味やその生い立ちを知りたくなったりしているかもしれません。そんなときは、どんどん調べてみればよいと思います。新しいことを知れば、それだけ自分の知識が深まっていきます。
さて、冬がそこまで来ていますね。寒くてついつい猫のように丸まってじっとしていたくなりますが、春に大きくジャンプするための大事な準備期間でもあります。みなさんは、頭と心のアンテナをしっかり働かせて、どんどん知識をたくわえて、実りある冬を過ごしてくださいね。

161107先日、能開岐阜地区と福井地区に、元プロ野球選手・中日ドラゴンズの和田一浩さんが教育講演会で来てくださいました。

和田さんは、プロ野球ファンなら誰もが知っているスター選手です。アテネ五輪やWBCでも日本代表チームで活躍。2010年には中日ドラゴンズのリーグ優勝の原動力となり、シーズンMVPにも輝きました。2015年に通算2000本安打を達成し、イチロー選手や松井秀喜選手と同じ「名球会」への仲間入りを果たしました。

和田さんを一言で表すなら「遅咲きの努力家」です。
プロ野球界の門を叩いたのは、他の選手よりもかなり遅い24歳のときでした(ちなみに大谷翔平選手もイチロー選手も18歳で入団しています)。スタートが遅い分、即戦力としての期待が大きかったのですが、なかなか思うような結果が出ません。それでも和田さんは常に向上心を持ち、血のにじむような努力を続け、入団から6年目、30歳にしてようやくレギュラーに定着。そこから豪快な打撃が開花し、スター選手へと上り詰めていったのです。
 
岐阜と福井の講演会では、「きっと花咲く春は来る」と題し、能開の生徒と保護者の方に、自身の数々の努力のエピソードを交えながら、夢を絶対に諦めないこと、そして夢に向かって努力し続けることの大切さを熱く語ってくださいました。
その中で、とても印象に残った話があります。

「現役時代、2000試合以上に出場しましたが、毎試合“緊張”していました。スポーツも勉強もそうですが、“なるべく緊張しないように”と、緊張することをネガティブに捉えている人が多いのではないでしょうか。
私はそうは思いません。どんどん緊張してよいと思います。
なぜ人は緊張するのか。それは“うまくやりたい”という“向上心”があるからです。その“向上心”を持ち続けることを大切にしてください。
緊張しているので、いろいろ失敗することもあるでしょう。大事なのは、その失敗を次にしないように気をつけることです。そのくり返しで人は成長していけます」。
常に万全の準備で試合にのぞみ、向上心を持ち続けた和田さんだからこそ出てくる言葉なのだと思います。

何事にも全力で取り組むことで生まれる緊張感。その中にある「成長の種」を大きく成長させていきましょう。