まもなく7月が終わり8月がやってきます。いよいよ夏合宿の季節です(一部のコースはもう始まっていますが)。夏合宿に参加する人たちの中にも、楽しみだと思っている人や、少し不安に感じている人もいるでしょう。

もちろん合宿に行けば、自分の家のような生活はできません。食事の用意や、お風呂の着替えなど、今まで当たり前にしてくれていたことが、自分でやらなければならなくなります。慣れないことで苦労するかもしれません。でも、人間の生活は少し不便なくらいが、ちょうど良いのです。不便だからこそ、うまくなるように工夫するし、色々と考えるようになります。

たとえば、一日中、何もしなくていい、テレビを見たり、ゲームをしてもいい、となればみんなは大喜びですよね。夢のような快適な生活でしょう。でもそれが何日も続けば、どうでしょうか。たぶん、1週間であきると思います。それは、人間は本来、がんばってみよう、工夫してみようという能力を備えた生き物だからです。そういった遺伝子を持つからこそ、人類はここまで進化して、地球上に繁栄できたのです。

少し大きな話になってしまいましたが、夏合宿に参加する皆さん、不安があってもいい、不便があってもいい、あえてその中に飛び込んでみませんか。勇気を出して新しいことに挑戦してみる、不便な中でも自分なりに工夫してみる、そういった経験をした皆さんは、夏が終わった頃には、きっと成長しているはずです。そしてその経験が、2学期からの皆さんの活動に、大きな自信になるでしょう。

さあ、勇気を持って夏合宿へ!

「天才だ!」さてこの言葉、誰かに言ったことのある人の方も多いと思います。

オリンピックにも出場した卓球の福原愛選手のこと知っていますか?
「天才って便利な言葉だよね。だって、天才っていったら、努力もしないで持って生まれたものだけでやってきたように思われるんじゃないかなぁ」彼女の言葉です。

「天才」という言葉を使うときは、「生まれ持った才能」という意味で使われることって多いですよね。「天才」ということでよく名前が上がる人物に、野球のイチロー選手がいますが、イチロー選手は、小学校時代、年間300日バッティングセンターに通って練習をしていたそうです。年間300日。1週間に6日です。
「なんだ、自分にもできそうだと思った人もいるかもしれません。」でもね、考えてみてください。風邪をひいたり、ケガをしたり、修学旅行があったり、家族で親戚の家に行ったり・・・。練習をできない日もあったはずです。それでも1年に300日練習をしたということは、要するに1年中毎日練習をしたということです。

「天才」=「異常なくらい努力ができる人」といえるかもしれません。
誰しも何事も練習をすればうまくなるのはわかっています。
しかし、「天才」でない人たちは、そこまで実行し続けることができません。そして、自らを守るための言い訳として、「あの人は天才だから・・・」というのではないでしょうか?
スポーツ選手や偉大な発明家のように世界で1番になるほどの人になるのであれば、「世界一の異常な努力」が必要だと思います。

けれど、皆さんの勉強においてどこの中学、高校を目指すにあたっても、「日本で1番の努力」も、おそらくは「県内で1番の努力」も必要ありません。
やるべきことをきちんと、徹底すれば道は拓けます。
最後にもう一人。サッカーの「天才」日本代表、香川選手の母校の生徒に向けた言葉を紹介します。
「努力することが大切。みんなもがんばって。」
さあ、いよいよ勝負の夏休みです。

みんなは次の言葉を知っていますか?

親の寝床と自分の寝床との距離が、離れれば離れるほど、人間は成長する
武田 鉄也

言わずと知れた『3年B組金八先生』です。先生たちの世代は、みんな見ていました。このドラマや『熱中時代』(わからないひとは家の人に聞いてみよう!)を見て先生になろうと思った人も結構います。先生もあの通りになろうとは思いませんが、あこがれたことがあります。学校の先生に聞いてみてもいいかもしれませんね。

この言葉についてですが、今のみんなは思春期(反抗期)をむかえ、お父さんやお母さんに対して素直になれない人も多いのではないでしょうか。でも、ある程度、それは仕方のないことです。みんなが自立していくためには、通らなければいけない時期です。

みんなはだんだんと『親離れ』をしながら自立していくのです。その親との距離が微妙なのですよね。『親からは離れて自由になりたい。』『でも完全に離れてしまったら、自分の力だけでは生きていくことはできない。』そこで離れすぎたり、近づきすぎたりしながら、親との距離感をつかんでいくのです。

そこで先生からのアドバイスですが、一度は離れる経験をしてみましょう。そしてくっつく経験をしましょう。親から離れることで、自由になることの実感や責任の重さを知り、親とくっつくことで、親の存在の大切さを改めて確認できでます。そうした経験の積み重ねが、みんなを自立した『人』として成長させてくれるはずです。

夏休みはそのチャンスですよ。どんどん外に飛び出そう。

先生は昔から映画を観ることが好きでした。
ストーリーが終わるとすぐにテレビを消して「はい、おしまい。あ~面白かった~!」
でもある人からこんなお話を聞いて、ちょっとだけ映画の楽しみ方が変わりました。

「映画が終わってから流れるエンドクレジット、あれがまたいい感じなんだよな~」

エンドクレジットとは、簡単に言うと、映画が終わったあとに、その映画をつくった人や
協力してくれた人や会社の名前が流れている部分です。
先生にはその人の言うことが理解できませんでした。
「名前とかがひたすら音楽といっしょに流れてくるだけでしょ?」そう思っていたからです。
先生はその人に質問をしました。
「何で?どこがいいの?だってお話は終わったじゃない?」と。

するとその人は言いました。
「だって、この映画を最後まで完成させるために、こんなにたくさんの人ががんばったんだよ。面白かった!って今思えたり、感動できたりするのは、出会ったことのないたくさんの人のおかげなんだよ。だから僕は、映画は最後の最後、エンドクレジットが終わるまで観てこそ、本当にその映画を楽しんだと言えると思うんだ。」と。

先生はびっくりしました。
その話を聞いてから、先生はエンドクレジットが終わるまで映画を観るようになりました。
1時間半、2時間という作品を創り上げるために関わったたくさんの人たちや会社の名前。
きっと作品をつくった人たちにとっては、
「みんなでがんばれてよかった。関わったみんな、ありがとう。観てくれたみんな、ありがとう。」
また、観ている人たちにとっては、
「こんなすてきな映画をつくってくれてありがとう。」
<ありがとうがたくさん伝わる時間>それがエンドクレジットだと考えるようになりました。

作品に関わった人に直接「ありがとう」を言うことはできないけれど、たとえば外国の映画であれば、1人でも名前が読めたら、その人への「ありがとう」の代わりになるのではないかと思いました。うっかりするとシューッと人の名前が上に流れていってしまうので、先生にとってはスピードも勝負!出てきた登場人物の名前がわかるとうれしくなったり、読めん!という名前で困ったり、英語じゃないし!という別の言語に迷ったり(笑)。途中からはちょっと変わった楽しみ方もしていましたね。
みなさんがこれから過ごす夏休みにも、きっと色々な人が関わってくることでしょう。
主人公は自分。そして周りにいる人たちがあなたの物語を彩ってくれます。
山あり谷ありの冒険話、ジーンと感動するようなストーリー、ゲラゲラ笑い転げそうになるおもしろい話など、どんなお話になるのでしょう?

夏が始まる前の今だからこそ、伝えます。夏が終わったときに、関わった人たちみんなに「ありがとう」と思えるようになってほしい。そして、本当にありがとうと言える人になるには、やっぱり全力でがんばること。映画に関わった人ががんばったからこそ、観た人が感動するのと同じ。適当な人の「ありがとう」はうすっぺらい。力いっぱいがんばった人の「ありがとう」はきっとたくさんの人に届くはずです。

「ありがとうを言いたい人がたくさんいます!」
エンドクレジットにたくさんの人の名前がある。そんな夏休みになりますように。