「バレエ」と聞くと何を思い浮かべるでしょう。
「白鳥の湖」、「くるみ割り人形」、柔らかい体、トゥシューズ・・・
きらびやかな美しいイメージがありますね。

先生の好きなバレリーナに、吉田都さんという方がいます。
吉田さんは9歳からバレエを習い始め、18歳で有名な国際コンクールで一番名誉ある賞を受賞しイギリスのバレエ学校へと留学します。踊ることが大好きで、レッスンが大好きな少女でした。
自信と希望を持って向かったイギリスで彼女を待っていたのは、楽しいことばかりではありませんでした。当時を振り返って、彼女は「鉛色の空の下を歩いているようだった。」と言っています。
一番の衝撃は日々のレッスンにありました。
「あなたは今、何を表現しているの?」
「あなたはどうなりたいの?」
先生からレッスンのたびにこの問いかけをされました。初めての問いかけでした。

毎日毎日問いかけられても、答えは出ません。周りの生徒たちは次から次へと答えていきます。自分だけ置いていかれているようで、日本に帰りたいという思いが強くなっていきました。

苦しい思いをしながらも、毎日答えを考えながら何ヶ月かが経ちます。
ある日、レッスン中に踊っている吉田さんの頭に、ふと「これを表現したい」「私はこうなりたい」という思いが浮かびました。毎日、自分でも問いかけながら答を探していたからでしょう。
「それからは、イギリスの重たい空の雲が晴れていくように、気持ちも晴れていった」
吉田さんがバレエ学校で才能を発揮し、ソリスト(バレエの中心となる役柄)に選ばれ始めたのもその頃です。

「あなたは何を表現したいの?」
「あなたはどうなりたいの?」

この問いかけに、あなたならどう答えますか?

もし今答えられなくとも、その答えを見つけたときが、
あなたの力を発揮できるチャンスになるかもしれません。

皆さんは家事労働をしていますか?
家事労働は単なる「お手伝い」ではありません。「家の仕事の分担」です。お米を研ぐとか茶碗を洗うとかお風呂掃除とか、家で誰かがしなければならない仕事を請け負うことです。お手伝いならしてもしなくても生活は成り立っていきますが、家事労働としての役割はしないとたちまち生活に支障をきたすのです。例えば、お米研ぎが遅れると家族の夕飯が遅れるといった具合です。

こういった役割がある人は、家事をやらなくてはならない時刻になったらさっさと取り掛からなければなりません。外で遊んでいても時間になったら引き上げなければなりませんし、ゲームに夢中であっても中断しなければなりません。そこにはスイッチの切り替えが必要なのです。だから毎日、責任のある家事を分担されている人は、このスイッチの切り替えができるようになっていきます。手早くきちんと家事を済ませてからまた自分のしたいことをします。自然に集中力や俊敏性も備わってきます。こういう人は勉強もてきぱきしていけるようになります。併せて、家事労働を通じて親の苦労もわかる人になります。また、自分も家庭生活を支える上でなくてはならない一員なのだという誇りも生まれます。人の立場の分かる人にもなっていきます。
これは「見える学力、見えない学力」(著者:岸本裕史)という本にあった話です。岸本裕史先生は陰山英男先生が有名にされた「百ます計算」を考案された方です。

勉強を言い訳にして家のお手伝いから逃れている人はいませんか?
勉強時間の質を高めるのは集中力です。家の役にも立ち集中力も身につけられる良い生活習慣を身につけてください。

3月11日に発生した東日本大震災から3ヶ月が過ぎました。今回の震災により被災された皆様には心からお見舞い申し上げます。
また、このたび『復興の種』では、全国の皆さんから温かいメッセージと多くの支援をいただきました。ありがとうございました。
少しずつ復興の足音は聞こえてきましたが、元の状態に戻るには、まだまだ長い時間がかかります。今後も復興に向けて皆で協力していかねばなりませんし、今回の震災から皆さんには多くのことを学んで欲しいと思います。

今回の震災から一つ皆さんに紹介したい記事があります。

ある新聞記者の方が、宮城県石巻市のある小学校を取材していたときのことです。この小学校は校舎1階が津波にのまれながら避難所となっており、ある日、男性タレントや女性歌手が慰問に訪れました。「本物だ!」とサインをもらおうとした子どもたちは、案内役の人に「時間が限られているのでできない」と拒まれました。
一人の女の子はがっかりした表情を見せたそうですが、恥ずかしそうに「サインして」とその記者の方に近づいてきました。「有名人じゃない」と説明しても「いいの、集めるのが好きだから」と、真新しいドラえもんの表紙のノートを差し出しました。きっと支援物資でもらったのでしょう。パラパラめくってみると、どのページも真っ白でした。記者の方は恥ずかしそうに1ページ目にサインされたそうです。「大事にする。」顔を赤らめながら少女は言いました。

「いいもの、見せてあげる。」別の日、校庭で4年生になる別の女の子は、和紙でできた花柄の小箱から金色の2つのピンバッジを取り出しました。
「アメリカの人が私と弟と友達にくれたの。『日本中で3人しか持っていないから自慢できるよ』って。」行方不明になられた方の捜索やがれき撤去のために学校周辺に来ていたアメリカ軍の一人から帰り際に贈られたそうです。
「弟のも持ち歩いているの。ずっとなくさないようにね。」がれきから見つけたという小箱に、大事そうにバッジをしまいました。

「地震でたくさんのものを失いました。大切な人、おうち、思い出の品。でも相手を思いやる優しい心、大切な気持ちはなくなりません。」

つらいときにお互いで支えあう優しい気持ち。
その気持ちを最近感じた人もいるでしょう。しかし、まだその温かい気持ちをよく分からない人でも必ずそのありがたさを実感できる日がきっと来るはずです。
ぜひ、この夏は合宿や講習会を通して多くの人と交流を深めるなかで、お互いに支えあう心を学んでください。

先生は金沢本校の中3Vクラス(難関クラス)で社会を教えています。実は今でこそ社会を教えていますが、私が小学生のとき、社会という科目が嫌いで嫌いでたまりませんでした。社会の授業はほとんど聞かず、社会のノートに落書きをする毎日でした。それが今では「社会の先生」なのですから、人はどこでどう大きく変化するかわからないものです。

私の大きな変化は、小学5年生のときの休み時間でした。その時、クラスの中ではやっていたのが「どれだけたくさん暗記ができるか」という競争でした。皆さんも経験がありませんか?小学5年生のときに「円周率をどれだけたくさん覚えられるか」などを競ったことが。

ただ先生はちょっとだけ ひねくれてましたね。

「みんなが覚えている円周率なんかで競ってもおもしろくない。どうせなら、みんなが覚えられないようなものを覚えてやろう」という、意味不明な闘志がわいていたのです。そこで覚えようと思ったものが「歴代の天皇の名前」でした。初代は神武天皇から始まり、綏靖→安寧→懿徳・・・と続くわけですが、その125代まである天皇の名前を、漢字も含めて全て暗記しました。

その知識ははっきりいってほとんど役に立ちません。強いて言えば「高校の古典」と「百人一首」のときぐらいでしょうか、覚えていて良かったと実感できたのは。間違いなく高校入試や大学入試では全く必要のない知識です。入試だけを考えれば確かに「無駄な知識」かもしれません。ただその「無駄な知識」を身につけるためにやった様々な動作は、今の自分にプラスになっています。

○チラシの裏を使ってひたすら書きまくった
○書いても覚えられなかったので、声に出して読んでみた
○似たような名前をグループごとにまとめ、順番にしばられない方法で覚えた

…など、いろんなことを試しました。途中で「くだらない。もうやめてしまおう」と思ったこともありましたが、一方で「途中でやめるのは悔しい」という思いもありました。そういった思いが駆け巡る中で、様々な工夫をしました。また目標としていた人数まで覚えられたときの大きな達成感もありました。そして何よりも、最終的に125名を覚えたときには、社会という科目が好きになっていたのです。
これらは「学ぼう」と思って身につくものではありません。気がついたら身についていたものです。

人はどこで大きく変わるか誰にもわかりません。入試に必要な知識を身につけることも大切です。
一方で、入試には直接関係ないものであっても、それを「最後までやりぬくこと」は立派な勉強であり、自分に新たな力を与えてくれる機会だと思うのです。

身体を動かしていなくても、算数や数学の問題を前に格闘したあと、「あ~お腹がすいた~」という経験をしたことが皆さんあると思います。受験生なら夜中の勉強の後の夜食が楽しみ♪という人も多いかもしれませんね。

実は「頭を使うとお腹が減る」ということには、ちゃんとした理由があるんです。

皆さんの頭の中にある「脳」は、体重のおよそ2%の重さがあります。たったそれだけの重さにも関わらず、脳で使われるエネルギーは身体全体の20%もあるのです。つまり脳は体の他の部分の10倍のエネルギーを使っているのです。「頭を使うとお腹が減る」のは、気のせいなんかではなく、ホントのことです。

脳で使われるエネルギー源はブドウ糖(グルコース)だけです。ほかの体の細胞のようにいろんな成分を燃料として使うと、燃えカスとして細胞に負担がかかる物質ができてしまう。でも、グルコースを燃焼させると水と二酸化炭素しかできません。ほかのものは一切できません。とってもクリーンなエネルギー減なのです。

なぜ「頭を使うとお腹が減る」のかというと、脳の中にセンサーがあって、このグルコースの濃度を感知しています。頭を使うとグルコースが減っていきます。もしも極端に低下してしまうと、脳の神経細胞はエネルギー不足でどんどん死んでしまい、危険な状態になります。こんなことにならないように、グルコースの濃度がある程度下がってくると、「お腹がへった~」というSOS信号を出すのです。脳を守るためのしくみが働いているんですね。

勉強を頑張って、お腹が空いたと感じたら、それはいっぱい頭を使ったという証拠。よし、今日は腹ペコになるくらい勉強するぞ!というのも面白いかもしれませんね。もちろん、すぐにエネルギー切れになっては困りますから、しっかり食べてから勉強した方がよさそうですよ。