今年の6月からロンドンでオリンピックが開催されますが、記憶力にも世界大会が開催されているのをご存知ですか。一時間で数字を暗記したり、アルファベットの順番を覚えたり、様々な種目があるそうです。覚え方は人にもよりますが、数字を言葉に変えて覚えやすいように物語をつくり、イメージで覚えていく方法があるそうです。

数年前にギネスブックで円周率の最高記録を樹立した日本人は、まさにこの方法で何万桁にもおよぶ数字を文字に置き換え文章にすることで、ばらばらにならんだ数字に意味を持たせて覚えたそうです。学校での社会の年代暗記や英語の単語暗記などにもいろいろ使えそうですね。

また、書物を参考に、記憶力を高めるための法則を(かきくけこ)でまとめてみましたのでご覧下さい。 

(か)・・・・・感動する 書く(まずは感受性豊かに、そして書き留める。)

(き)・・・・・興味を持つ(好奇心を持ち取り組む)

(く)・・・・・工夫をする(自分だけのオリジナルをつくる。)

(け)・・・・・健康である(徹夜で覚えてもだめです。規則正しい生活をしましょう。)

(こ)・・・・・こだわる (細部にこだわりを持つ)

記憶力を高めることはテスト勉強でポイントを覚えるために役立ちます。普段の学校での授業や、塾での授業で気をつけて取り組んでいけば、さらなる成績の向上につながることでしょう。みなさん是非、意識して取り組んでみましょう。

 突然ですが問題です。
 ギリシア神話にはさまざまな神様が登場します。その中のひとり、チャンスをつかさどる神である「カイロス」の髪型は?

①ふさふさのロングヘアー
②前髪はないが、後ろ髪はある
③前髪しかなく、後ろ髪はない
④つるつる

…正解は③です。
 カイロスは彫刻でも美少年で、両足に翼が生えているのですが、独特な髪型をしています。高速で移動をしているので、なかなかつかまえることができません。
 そして何より、ヨーロッパには「チャンスの神様には前髪しかない」ということわざがあります。これは、通り過ぎてしまってから追いかけても、チャンスをものにすることができないという意味です。

 実は先生も高校時代、母親に「あんた、アメリカの大学に行かへんか?」と言われて、「遠いし、いやや。日本語も通じへんし」と拒否した経験があります。
 今考えれば、自分の人生を大きく変えるチャンスだったのかもしれません。挑戦しなかった私に、もう二度とそんなチャンスは訪れませんでした。

 そのアメリカには国務長官としてノーベル平和賞を受賞したキッシンジャーという人の名言があります。

「チャンスは貯金できない」

思いがけずやってくる自分を成長させるチャンス。たまたま代打で試合に出たら大活躍をした選手や、初めて班のリーダーの代わりをして成長した人がいます。彼らは決して「運がいい」のではありません。普段から、やってきたチャンスを手に入れる準備をしているのです。

この夏こそは、最高の「準備」と「挑戦」を。

みなさんは「ジャッキー・ロビンソン」という人を知っていますか。彼はアメリカの有名なメジャーリーガーでした。ただ、単なるメジャーリーガーだったわけではなく、「黒人で最初」のメジャーリーガーでした。

1940年代当時のアメリカでは、まだ人種差別が色濃く残っており、メジャーリーグは「白人」だけのもので、「黒人」は1人としていませんでした。そんな中、「人種差別の壁」を打ち破るべく、「ジャッキー・ロビンソン」はメジャーリーガーの道を歩み始めました。

ジャッキー・ロビンソンにどんな苦難が待ち受けていたかは、みなさんおおかた予想はつくことでしょう。相手チームのファンからは憎悪と偏見に満ちた言葉が飛んでくる、相手チームの選手からは、故意に足に向かってスライディングをされるなど、怪我を負わされるようなことが日常でした。信じられないかもしれませんが、自分のチームのファンやチームメイトさえも、彼を差別するような発言をしていました。まさに、「まわりのものすべて」が敵という状況でした。

ただ、彼はそういった状況に対して怒りをあらわにすることは決してなく、黙々と努力を続けました。どんなに、汚い言葉を投げかけられても、どんなに汚いプレーを相手チームから受けても、常に全力でプレーをしていました。

そんな彼の姿に心を動かされ、彼を取り巻く環境は大きく変わっていきました。まずはチームメイトや自分のチームのファン、そして相手チームのファンまでもが彼に敬意を表し、ジャッキーを応援しはじめたのです。

みなさんは今の話を聞いてどう思いましたか。どのような困難が目の前にあらわれたとしても、人が応援したくなるような努力をする自信がありますか。

いくら困難な状況の中でも、不平不満を言わず、黙々と努力を続けていれば、必ず誰かが見てくれているものです。そして、最後にはまわりの人たちが力を貸してくれて、その困難を乗り越えられるようになる・・・

「人が応援したくなるような努力」 みなさんも一度考えてみてください。

皆さんは、漢字でも英単語でも、1回で覚えることができたら、どれだけいいだろうと思ったことはありませんか。

もし、1回で物事を覚えることができたらどうでしょうか。それは、素晴らしいことでしょうか。実は、そんなことになったら大変だと思います。たとえば、休みの日に繁華街へ出かけ、そこで1000人の人と出会ったとしましょう。人の顔を見たということは、視覚を通じてその情報が脳の中に取り込まれたということです。1回で記憶に残るということは、その1000人の顔も覚えてしまったということです。また、以前、出会った人の顔も覚えているわけです。
すると、こうなります。「ああ、あの人は、86日前に駅で見た人だ。あの人は、43日前にレストランで食事をしていた、、、」
考えただけでもおかしくなりそうですね。なぜなら、そんなことは覚えていても、何の役にも立ちません。だから、特別な印象でもない限り、そのようなことは覚えていないですよね。

次に、毎朝、学校へ行く時間に、たまたま時間が同じになるおじさんがいるとします。そのおじさんは、自分とは全く何の関係がありません。しかし、よく道で顔を見ます。すると、いつの間にか、顔を覚えてしまうものです。繰り返しますが、その人とは全く関係がないので、覚えようとも思っていません。でも、自然と覚えてしまうのです。

これらのことから何が言えるでしょうか。

(1)人間の記憶は、覚えたい事柄がその人にとってどれだけ重要かは、あまり関係がない。
(2)脳は、1回しか出会わないものは重要でないと判断して消去する。しかし、繰り返されるものは、記憶する。

最後に、初めて会ったある人と60分間、真剣に話し合ったとします。でもそれからあと59日間、全く出会っていません。
また別のある人と初めて会って、1分ほど軽く挨拶などしたとします。そして、そのあとの59日間、あいさつ程度ですが、毎日1分話をしているとします。
どちらの人とも合計したら60分になりますが、どちらの人のほうがより記憶に残り、親しみを持てるでしょうか。当然、後の人のほうですよね。

そこで、3つ目です。
(3)1日にどれだけ長時間覚える努力をしても、それはただの1回。短時間でもいいから、小分けにして別々の日に覚える。

結局、当たり前の結論になりましたね。しかし、人間の記憶は勉強だけ特別扱いというわけにもいかないようです。