みなさんは「忍者」を知っていますか。漫画、テレビ、ゲームなどでは、屋根の高さまでジャンプできたり、忍術という怪しい術を使えたり、剣術などの武術や手裏剣の達人だったり、色々な特殊能力を持った人たちとして描かれていますが、実際の主な任務は敵と戦うことではなく「情報を得る」ことでした。つまり忍者とは、主に戦国時代から江戸時代にかけて活躍した「スパイ」だったのです。

忍者たちは「スパイ」として活動するために、日々の身体訓練を怠らなかったといいます。その中に「麻の苗木を毎朝飛び越える」という訓練があります。
「麻」は成長が早い植物で、3〜4ヶ月で3mほどに成長するそうです。ということは、1日でだいたい3cm程成長しているわけです。忍者たちはこの「麻」を地面に植え、その上を毎日ジャンプしたそうです。次の日も、その次の日も麻をジャンプします。
1日3cmずつ成長していくので、1日目は3cm、2日目は6cm、3日目は9cm・・・と、毎日麻の木を飛び越えるだけでジャンプ力が1日3cmずつ上がっていき、1週間で21m、1ヶ月(30日)で90m、3〜4ヵ月で3mもジャンプできるようになっている・・・というわけです。

忍者が本当に3mもジャンプできたかどうかわかりませんが、毎日少しずつの努力は必ず身になっているはずです。忍者という人たちが、いろいろな特殊能力を持っていたなどと伝えられているのは、それに匹敵する技を持っていたからに他なりません。忍者に魅力があるのも、実はそのように隠された「努力」という「裏づけ」があるからなのかもしれません。

「毎日努力を続けていくこと」は、勉強でも大切なことです。「継続は力なり」。よく耳にする言葉ですが、毎日続けるには無理せずできる習慣を身につけることも大切なのです。
例えば、漢字の練習に忍者の特訓を応用してみましょう。一日に3語の漢字を練習して覚えることは、それほどむずしいことではないはずです。毎日続けると、1週間で21語、1ヶ月(30日)で90語も覚えることができ、一年でなんと1,095語も覚えることができるのです。算数の計算問題の数や、英単語や理科・社会の暗記にも、忍者の特訓は応用できます。
みなさんも忍者のような秘密特訓で、ライバルに差をつけよう!!

みなさん突然ですが、「カレーの味がしないカレーライス」って食べたことありますか?
見た目はどうみてもカレーだし、中に入っている具材もほとんど変わらない。
ただ、食べてみると自分の知っているカレーの味がしないカレー。
具体的に言えば、カレーなのに「甘い」。カレーの甘口ではなく「甘い」カレーなんです。
「ほんとにカレーかよ」って思うかもしれませんが、カレーなんです。
先生は食べたことがあります。どんな時だったかというと、「普通のカレーが食べれない状態になった」ときです。

子どもの頃ですが、体調が悪くなってしまい病院に入院していた時期がありました。
その時に「塩分をたくさん含んだ食事はダメ」という制限があったんです。
ですから、出てくる食事はほとんど「辛くない」食事でした。
お醤油やマヨネーズも、普通のものより全然塩分を使ってないものだったり、スナック菓子やファーストフードなどは絶対禁止!!という感じでした。

そんな生活の中で出てきたのが、冒頭にあった「カレー味のしないカレー」です。
先生もカレーは大好きでしたが、いつもと違うこのカレーはとても好きになれるものではありませんでした。
ひょっとしたらみなさんの中にも同じような経験をした人がいるかもしれないですね。
今まで当たり前だったことが急にできなくなってしまったり、生活が変わったりしたことが。「怪我をして大好きなスポーツや習い事ができなくなった」とか「すごく仲の良かった友だちが急に転校していなくなった」など。

どうですか、こんな時どんな気持ちになりましたか。
悔しい思いをしたり、現実を受け入れることができなくて、なかなか立ち直ることができなかった人もいるかもしれませんね。
みんなには今夢中になっているもの、きっとありますよね。部活、趣味、友人と過ごす時間だったり、受験生はやっぱり「勉強」かな。
今やっていること、過ごしている時間についてもう一度考えてみませんか。
勉強や部活については「今の自分は一生懸命になれているのか」
友人関係や家族との悩みであれば「本当にこのままでいいのか」

大切なものから離れて本当に、今までの価値が分かる時もあります。
でも、もっと大切なことは「自分にとっての真の価値を理解しようとすること」ではないかと思います。
受験生は今、勉強でものすごくしんどいかもしれない。いやものすごく「不安」か。
勉強やいろんなことを両立させるのが、「正直きついな」って思っている人もひょっとしたらいるかもしれません。目の前にある現実に、必ず自分にとっての「価値」があるはずです。点数や順位以上に大切なことを見失ってしまわないようにして欲しいです。

ちなみに、カレーの話しには少し続きがあります。その時、お世話をしてくれた看護士さんの言葉が先生にとっては忘れらないのです。
「食事に使う塩分が限られた中で、どうやったらおいしい食事が作れるか。調理師や栄養士の先生は一生懸命考えて作ってくれてるんだよ。だから大切に食べようね」
しないで済むならしたくない経験でした。しかし、周りのたくさんの人が協力してくれたからこその今の自分。今思えば「1人じゃなかったんだ」と実感できた瞬間だったのかもしれませんね。

君達は、「日本理化学工業株式会社」という会社を知っていますか?

随分難しそうなことをしていそうな名前の会社ですが、この会社は、君達に関係のある、ある“もの”を作っている会社です。

それは≪チョーク≫です。
この会社は日本で一番チョークを作っている会社です。
ちなみに、「ダストレスチョーク」というのは、この会社のブランド品です。品質も最高です。

でも今回、先生がこの会社を取り上げるのは、いいチョークを作っているからではありません。

その理由とは、この会社の、実に約7割の社員が、知的障害者なのです。
君達の学校にも、特別学級みたいなクラスがあるところもあるかと思います。
この会社では、そういった学校にも通えなかったほどの重い障害をもつ方々も働いています。

しかし、初めからこの会社は、知的障害者の方を雇っていたわけではありません。
そのきっかけは、会社の近くにある養護学校の先生が、「自分の生徒を雇ってほしい」と訪ねてきたことだそうです。
最初、社長は断ったそうです。知的障害者の社員を雇う責任を負う自信がなかったのでしょう。
しかし、この養護学校の先生は、それから3度も訪ねてきました。
社長は、その熱意に押されて、「1週間だけなら」という期限付きで雇いました。
ちなみにその子は、女の子です。

最初は、周りの社員も戸惑いました。実際、仕事のスピードも遅かったし、ミスも多かったようです。
しかし、その女の子のくじけずに一生懸命に働く姿に、だんだん周りも心を動かされていったそうです。

そして、1週間の最終日・・・、周りの社員が社長に詰め寄りました。
「自分たちが面倒を見るので、この子をやめさせないでほしい。正社員にしてあげてほしい。」と。

社長はためらいました。
なにも社長は意地悪なわけではなく、社長とすれば、
「この子にとって、この会社で働くというのは、ハードルが高いのではないか?それなら、病院のベッドで周りの世話を受けながら暮らしていく方が幸せなのではないか?」
と思ったそうです。

しかし、実際は違いました。
ほかの誰よりも、その子自身が「やめたくない。これからも働かせてほしい。」と言ったそうです。

それを不思議に思った社長は、自分が日頃、親しくしているお坊さんに相談しました。
話を聞いたお坊さんは言いました。

「それは、そうですよ。なぜならば、人の幸せというのは4つあるからです。
①人に愛されること ②人にほめられること ③人の役に立つこと ④人に必要とされること
これらは、働く事によって得られることなのですから。」

以来、この社長は、色んなアイデアを出しながら、会社を知的障害者のみなさんに大勢働いてもらえる環境作りをしたそうです。
(この前の鳩山総理は、総理大臣のときにこの会社を見学したこともあるそうです。)

この話を知った先生は、とても反省しました。
今、自分の置かれている環境が当たり前であると思っていることに。

君達もこの話によって、何かしら感じてもらえば幸いです。

また、先ほど紹介した4つの幸せを、互いに与え合えるような関係を君達と作っていきたいと、先生は勝手に思っています。

自分の学校で確かめてみればいいかもしれませんね。
学校の先生方が使われているチョークが、「日本理化学工業株式会社」のものであるかどうかを。

みなさんは「カマス」を知っていますか。英語名の「バラクーダ」という呼び名でも知られており、塩焼きや干物、から揚げにするとおいしい魚です。中でも「オニカマス」という種類は180cmにもなり、水中で人が襲われたという記録もあるそうです。

そのカマスを使った有名な実験があります。
まず、大きな水槽を透明な板で仕切って、一方にはおなかを空かせたカマスの群れ、もう一方にはえさとなるイワシなどの小魚を放します。するとカマスたちはえさを食べようと、何度も何度も板に体当たりをはじめます。頭からぶつかって傷ついたりもしますが、ついにはあきらめておとなしくなってしまいます。

次に、水槽の中の透明な板をとってみます。自由にえさを食べはじめる…と思いきや、カマスたちはいっこうにえさを食べません。目の前を小魚が泳いでもまったく反応せず、最後にはそのまま餓死してしまうそうです。同じ実験を何度やってみても、同じ結果になるそうです。

さて、このかわいそうなカマスたちにえさを食べさせる方法があるのですが、わかりますか。

正解は…“別のカマスを一匹水槽に入れる”という方法です。たったそれだけのこと、と思うかもしれませんが、何も知らない新入りカマスが喜んでえさを食べている様子を見て、あきらめカマスたちもえさを食べ始めるそうです。

みなさんも毎日の勉強やスポーツの中で、思い通りにならなかったり、何度やってもうまくいかなかったりすることもあるでしょう。そんなとき、「できない」という“思い込み”=カマスの実験の“透明な板”なのです。本当は目の前にそんな板なんか無いのです。あきらめずに目の前の問題に飛びつく勇気が大切なのです。

苦しいとき、迷ったときは、みなさんの周りで一生懸命勉強や練習にはげんでいる友だちをみてまねをしてみることも大事です。新たな気持ちで取り組めば、新しい道が見えてくるはずです。そして次は、皆さん自身が周りの友だちに勇気を与える存在になってもらいたいと思います。