140407春の講習会も終わり、新学年でのゼミがスタートしました。講習会では、自己新記録の勉強を更新することができましたか。自分のライバルに勝つことができましたか。そして何よりも、講習会前に立てた自分の目標は達成できましたか。
今日は、1970年代、今から40年ほど前に活躍したあるスポーツ選手の話をしたいと思います。その選手の名前は、輪島功一。ボクシングの元世界ジュニアミドル級のチャンピオンで、現役時代はそのファイトぶりから 『炎の男』と呼ばれていました。少年マガジンに連載されている人気ボクシング漫画 『はじめの一歩』で登場する青木選手の必殺技?かえる跳びパンチの発案者としても知られている人です。実際の試合では、このパンチで相手をノックアウトしたことは一度もないのですが、世界王座初挑戦の時に放ったこのパンチの一撃があまりにも衝撃的だったこととその後、元オリンピック銀メダリストだったチャンピオンが完全に冷静さを失い、小差ながらも判定で敗れたことから記憶に残るパンチとして現在まで語り継がれています。
さて、ボクサーとしての輪島功一選手ですが、これまでに数多くの世界チャンピオンが日本のボクシング界から誕生していますが、不屈の精神と根性で世界タイトル6度防衛と世界王座2度の返り咲きを果たした偉大なボクサーです。ボクシングの世界では、一度失ったタイトルを再戦で奪回するのは至難の業とされており、それを2度も、しかも前回痛烈なノックアウト負けを喫した相手から成し遂げたのは、130年以上の長きにわたる世界タイトルマッチの歴史の中でも輪島選手ただひとり。特に2度目の王座返り咲きのときは、当時奇跡とさえ言われ、その戦いぶりは翌日東京都内で銀行強盗事件が起きた時、警察官が犯人を説得させたほどの試合でした。
『ハングリースポーツ』の代名詞といわれているボクシングの世界。25歳という当時では引退を考えてもおかしくない年齢で、輪島選手はプロボクサーになりました。『練習で必要なものは根性、試合で必要なものは勇気』輪島選手の現役時代の言葉ですが、それを実際にやり遂げて自分の目標、いや夢であった世界の頂点に立ち、金字塔を打ち建てたのです。
輪島選手は生涯38戦のキャリアの中で引き分けを含めて、勝てなかった試合が7回あります。決して最強というわけではありませんが、同じ相手に2度負けていません。日本タイトルを失った試合、引き分けに終わった3度目の世界タイトル防衛戦、2度にわたる世界再挑戦の4試合すべてにおいて明白な勝利を挙げています。何故勝てなかったのか、どうすれば勝てるのか、そのために必要なトレーニングは何か、それを考えて練習し、試合で実践できたからだと思います。
さあ、4月からの新学年、新しい生活の始まりです。勉強も部活も今まで以上に大変になってくると思います。新しいことに挑戦する時や失敗した時、輪島選手のように『何故』『どうすれば』『そのためには何が必要か』を考えてみてはいかがですか。