150113社会が得意なみなさんなら知っていると思いますが、【冠位十二階】では、その冠(かんむり)の12種類の色の違いによって「身分の高さ」を表しました。
では、それぞれの身分にどの色が使われていたのか知っていますか?
興味が沸いたので調べてみました。

◆12番目<小智>が【薄い黒】、11番目<大智>が【濃い黒】
現代で黒は「腹黒い」「黒幕」などの使われ方や「犯罪の容疑がある」ことを指したりとあまり良くないイメージで捉えられる場面も多いですが、「何にも染まらない」という意味を込めて裁判官の服に採用されているという一面や「大黒柱」という言葉もあります。また、キミたちが漢字や英単語を一生懸命にひたすら練習すると手が真っ黒になりますよね。あれは美しい黒です。

英語では[ black ]で、[ in the black ]と言えば「黒字」という良い意味だってあります。

◆10番目<小義>が【薄い白】、9番目<大義>が【濃い白】
白は黒と正反対に「犯罪の容疑がない」だったり「純粋」や「清潔感」を意味したりなどで基本的に良いイメージが先行しますが、「白々しい(しらじらしい)」というような使われ方もします。また、いくら見た目が綺麗でも解答用紙が真っ白というのは本当に困りものですね。

英語では[ white ]。動詞としての [ white out ] は「目がくらむ」「視界がなくなる」を意味します。

◆8番目<小信>が【薄い黄色】、7番目<大信>が【濃い黄色】
三原色のひとつである黄色のイメージはどうでしょう。子供が絵の中に描く太陽の色は、世界的には黄色が多いそうです。日本では赤やオレンジで描く方がどちらかというと多いそうですが、みなさんは何色で描きますか? 

英語では[ yellow ]で、「嫉妬深い」とか「臆病な」というような意味で使われることもあるようです。

◆6番目<小礼>が【薄い赤】、5番目<大礼>が【濃い赤】
こちらも三原色のひとつである赤。「真っ赤な嘘」「赤っ恥」「赤字」など、あまり良くないイメージの使われ方も多いですが、好きな色は?と質問されれば必ず上位に入るであろう、広く愛されている色ですよね。「赤いバラ」は情熱の象徴?です。

英語では広くは[ red ] ですが、[ crimson(真紅)]、[ vermilion(朱色)]、[ cherry(紅色)] など濃さによって言い方が違います。

◆4番目<小仁>が【薄い青】、3番目<大仁>が【濃い青】
また三原色が上位ですね。青も赤と同様に広く人気のある色ですね。視覚に訴える表示などで男女を分ける時は「女子が赤、男子が青」と使われることも多いですね。また、「青二才」のように「未熟な」という意味で使われたりしますが、人生で最も輝く時代を「青春」と呼んだりするなど良いイメージもありますね。ちなみに「青春」以外にもそれぞれの季節には色が振り分けられていて、「朱夏」「白秋」「玄冬」と言うそうです。冠位十二階にも採用されている黒(玄)・白・赤(朱)・青がここでも使われていますね。
 
英語では[ blue ]で、もはや日本語のように定着している感もある「ゆううつな」という意味を表したりもします。

 
なんだかここまでで代表的な色はほぼ登場してしまいましたが、一番上の位の色は何色なのでしょう? ここまでで出ていない色からすると【緑】とか? 偉い感じといえば【金】【銀】? 

◆2番目の<小徳>は【薄い紫】、最上位である<大徳>は【濃い紫】
少し意外な感じがする人も多いのではないでしょうか。あまりポピュラーとは言えない【紫】が上位を占めています。現代では「怪しげな」とか「派手な」、時には「下品な」などあまりプラスとは言えない印象を持つ人が多いであろうこの色ですが、実はとても高貴な色なのですね。よく見るとお坊さんの袈裟や持ち物には紫が取り入れられたものが多いですよね。数珠(じゅず)の房などにもよく使われています。

英語で[ violet ] は【薄い紫】、[ purple ] は【濃い紫】です。実は日本だけではなく世界的にも紫は「高貴な色」とされていて、英語の[ purple ]には「王族の」「華麗な」などの意味もあり、ローマ皇帝など高位の人物が紫の衣をまとうことが多いのです。
また、一面が紫になってとても綺麗な花畑を見せてくれるラベンダー[ lavender ] も紫ですね。。。何か、紫に対するイメージが少し変わった気がしませんか?

別に「紫がすごい」という話をしたいのではなく、今回、先生は「冠位十二階」の色から始まって関連することを色々調べるうちに色々なことを知りたくなり、夢中で調べているとまた知りたいことが出てきたりするという体験をしました。
この「広がる楽しさ」は「自分で調べる」という第一歩から始まります。参考書や辞書はただ語句を調べるだけではなく、それに関連したことをまた調べたりすることで多面的に捉えてみると、面白さや理解が何倍にも何十倍にも広がります。

新しい学期が始まる今、真っ白な心で「調べる」をぜひ積極的に実行してみてください。