161219メリー・クリスマス。もうすぐクリスマスですね。
私は敬虔な仏教徒ですので、クリスマスを祝うことはしませんが、メリー・クリスマスといえる国は素敵だと思います。アメリカでは他の宗教に配慮してハッピー・ホリデイズということが主流だそうです。
メリー・クリスマスといわないのではなく、他の宗教の祭りも認めるのが正しい姿勢だと思うのですが…。

アメリカの次期大統領のトランプ氏も以下のように言っています。
We’re going to start saying ‘Merry Christmas’ again!
(我々は再びメリー・クリスマスと言おう)

さて今月、我々仏教徒にとってとても大切な日がありました。そう成道会(じょうどうえ)です。
悩み続けられたお釈迦さまは35歳の12月8日、菩提樹の下で悟りを開かれ仏陀となられました。
ところが、仏陀は再度座禅をくんでいます。修行をしています。修行とは悟りを開くためにするのでは。仏陀は実は悟りを開いたわけではないのでは。いや、確かに悟りは開いていた。そして、更なる高みを目指したのだと思います。次に釈迦はその教えを弟子たちに広めていきました。

今勉強に苦しんでいるみんなに伝えたい。釈迦だって悩んだのだ。苦労したのだ。苦しんで当然だ。
目標のレベルに達したひとに伝えたい。釈迦はさらなる高みを目指したのだ。受験生なら、難関レベルに挑戦したっていいじゃないか。高校内容の先取りをしたっていいじゃないか。受験生以外でもテキストの応用に挑戦したり、次学年内容を先取りしたりしたっていいじゃないか。
そして、自分のやり方を後輩や勉強に苦しんでいる人に教えてあげて欲しい。能開生なら切磋琢磨して勉強に取り組んで欲しい。

能開弥栄。

161212英語のことわざに
◆Misfortunes never come alone.
「不幸は決して単独でやってくることがない」

というのがあります。要するに「悪いことや不幸なことというのは、たいてい立て続けにやってくる」
ということを表しています。いろいろなことによく当てはまるなぁと思わされますが、だからといって慰めてもらおうと不幸をアピールしていてばかりではあまりにも悲しいですね。

そういうものだと先人が教えてくれたのなら、それを胸に留めておき、もし何かが起きてしまったのなら、ひとつひとつ解決していけば必ず全てを解決できるんだと強い気持ちで対応するべきです。

こんなことわざもあります。
◆Rain before seven, fine before eleven.
「7時前に雨だったとしても、11時前には晴れているよ」

「悪いことばかりが続くものではない」ということですね。
決して能天気になることを勧めるわけではないですが、ものごとをポジティブに捉えることも必要です。

◆Today is the first day of the rest of your life.
「今日という日は、きみの残りの人生の最初の日だ」

このように、思い込みから自分を開放して、少し捉え方を変えてみることも必要です。
「“がんばれ、がんばれ”って、こんなにがんばってるのにまだ言うの?」
と思ってしまう自分がいたら、その捉え方を変えてみましょう。

あなたにとって一番大切な人がツラい状況にある時、あなたはどんな気持ちになりますか?
何とかしてあげたい、何かしてあげたい、でも何もできない、代わってあげることもできない。。。
そんな時にかける言葉が「がんばれ」だったりしませんか?
そして、その短い「がんばれ」には、「いつも応援しているよ」「どうかうまく行きますように」など、その大切な人への強い想いが込められていませんか?

特に受験生の周りではよく飛び交う「がんばれ」ですが、それぞれの人の熱く重い気持ちが込められているんです。サポートしてくれる家族の方々や友達、能開の先生の言葉をそんな風に捉えてみてください。

では、誰よりも強く熱く重い想いを込めてみなさんにこの言葉を贈ります。
「がんばれ!!!」

161205朝と夜の気温もグンと下がり、関東では初雪も降りました。いよいよ冬がすぐそばまで来ています。
冬と言えばスキー。先生が大好きなスポーツの一つです。冬のスキー合宿を心待ちにしている人も大勢いることと思います。

さて、先生がスキーを始めたのは幼稚園児の時でした。スキーが好きで、冬には近所の山に登って遊んだり、当時は学校でも体育でスキーがありました。それだけやればスキーが上手になるのも当然と思いますが、実はスキーが上手になるには秘訣があります。

それは転ぶことです。
転んで失敗をくり返すことで、スキーはドンドン上達します。先生も今までに何百回も転んだことで、スキーが上手になりました。
転ぶ=失敗は、なぜ失敗したのか、自分に教えてくれます。じゃあ次はどうすればいいか。上手くすべるにはどうしたら良いか。自分で考えて、自分の体に覚えさせていく訳です。

スキーでは転んでも、ずっと転んだままの人はいません。すぐに立ち上がり、またすべり始めます。先生はスキーから、失敗してもすぐ立ち上がる前向きな気持ちと、失敗するほど上手になることを学びました。
勉強も同じですね。常にテストで100点満点を取れる人はいません。まちがえたことをしっかり考えて、次に失敗しないためにはどうしたら良いか。前向きにとらえる人は点数も伸びます。

七転び八起き。七回転んだって、最後は立ち上がるのです。皆さんも転んでも立ち上がる強い気持ちと、次にチャレンジする前向きな気持ちを常に持って、いろいろな課題に立ち向かってください。

161128みなさん「ヤママユガ」を知っていますか?
ヤママユガは、クヌギやコナラなどの葉を食物として日本各地の広葉樹林に生息し、卵→幼虫→蛹→成虫と完全変態をする蛾の一種です。幼虫では4回ほどの脱皮を繰り返し、蛹となるときに繭をつくります。その繭からとれる生糸はとても丈夫で、色が薄いものはその強度を利用して、昔は釣り糸などにも利用されていたそうです。

成虫となるときに繭からどのように外に出てくるのでしょうか?
強固な繭を喰い破って、すんなりと外に出てくるのではありません。口のようなところから出る分泌物で繭を少しずつ溶かし、柔らかくなった小さな穴を足でかき分け、身をよじりながら長時間かけて出てくるそうです。
成虫となるために繭から出ることはとても大変なことなのですね。

では、出てくる前に繭を人工的にハサミで切るなどして、その手助けをしたらどうなるでしょうか? そのことを実験された方の報告によると、成虫での生存期間が、半分ほどになるものが多くなったとのことです。

受験生のみなさんは、憧れの志望校への挑戦が刻々と近づいてきており、今が本当に大変な時期だと思います。逃げ出したくなる気持ちが時々現れたりしている人もいるでしょう。でも、決して負けないでください。この山場を乗り越えることは、これからの人生において、とてもとても重要なことなのです。
ぜひ、自分の殻は自分の力でこじ開けてください。きっと、素晴らしい将来が待っています。

161121皆さん、寝ているときに夢をみますか? よく夢をみるという人もいれば、夢なんてなかなか見ないよという人もいるでしょう。

夢についての研究は古代から続けられてきたようで「夢は神や悪魔といった超自然的存在からのお告げである」という考え方は世界中にあるそうです。古代ギリシアでは、夢の送り手がゼウスやアポロという神々だと考えられていました。『旧約聖書』でも、神のお告げとしての夢は豊富に登場します。なんと、バビロニアでは夢の解釈技法が発達し、夢解釈のテキストまで作られていたそうです。

ところで、夢は浅い眠りの時に見るとされていますが、睡眠のメカニズムについてはまだ不明確な部分が多く、現代でも研究対象となっています。夢を見ることは現在でも不明な点が多いのです。

そんな夢ですが、私は中学生のときにこんな話を聞きました。「夢でさえ自分の知識の範囲内でしかみられない」という話です。どういうことかというと、自分が知らないことや自分の知識にないことが、夢に出てくることはないという意味です。

私はショックを受けましたが、言われてみれば当然のことです。皆さんは、今までみた夢の中で、自分の知らない言語で会話する登場人物はいましたか? 夢で見たこともない乗り物に乗ったり、新種の生物が登場したりしたことはありますか? 結局、夢でさえも自分の知識は超えられないのです。逆にいえば、自分の知識や見聞、経験が広がれば、夢も広がるということです。

皆さんも、勉強することで知識を増やし、機会があれば旅行や合宿、留学にも挑戦することで見聞や経験を深めませんか。夢の枠が広がり、人生も豊かになること請け合いですよ。

161114今日は猫のお話から始めたいと思います。みなさん、猫が前足をたたんでお腹の下にしまって丸くなっている姿、一度は見たことありませんか?お家に猫がいる人ならよく知っているかもしれませんが、あの姿、「香箱座り(こうばこずわり)」と呼びます。(猫がこの香箱座りをしているのを見て「香箱を作ってる」とか「箱座りしてる」とか言ったりもします)ちなみに、香箱座りをしている時は、猫はとてもリラックスしています。足をすっかり体の下に入れてしまうので、すぐ立ち上がれない姿勢になる。つまり、周りを警戒していないのです。

ふと“そもそも「香箱」って何?”と思い、調べてみました。すると、読んで字のごとく、昔から茶道などで用いられる「お香を収納するふた付きの箱」のことでした。猫が前足をたたんで丸くなっている姿がその「香箱」に似ていることから、そう呼ばれるようになったというわけです。なるほどなるほど。
でもちょっと待てよ、「香箱(こうばこ)ガニ」っていうカニがいますよね。北陸で獲れるものだけをそう呼ぶらしいのですが、メスのズワイガニのことで、サイズはオスよりもやや小ぶり。お腹と甲羅の中に卵がたっぷり詰まっていて、とてもおいしいのだとか…。カニも箱に似ているのでしょうか?甲羅のところがなんとなく箱のふたっぽい気もするけど、猫とカニに同じ例えが使われているのが、なんとも不思議です。
これも由来が気になり調べましたが、いろんな説があるようで、決まった答えはないようでした。卵=子を持っているから「子箱」からきている、日本海で獲れるため、日本海の香りを内に秘めているから香箱という、「こうばく」という小さくかわいいものを指す方言からきている──など、どれも“なるほど”とうなずけます。「香箱」という言葉でも、猫の場合とまったく同じ意味合いで用いられているわけではないんですね。猫の座り方とカニの種類が同じ言葉で表現されているのはなぜだろう?という、ささいな疑問から、ちょっと意外な答えが得られました。

テレビや本、インターネットでも多くの言葉があふれていますから、若くてするどい感性をもったみなさんなら、もしかしたらもっとたくさん、言葉の意味やその生い立ちを知りたくなったりしているかもしれません。そんなときは、どんどん調べてみればよいと思います。新しいことを知れば、それだけ自分の知識が深まっていきます。
さて、冬がそこまで来ていますね。寒くてついつい猫のように丸まってじっとしていたくなりますが、春に大きくジャンプするための大事な準備期間でもあります。みなさんは、頭と心のアンテナをしっかり働かせて、どんどん知識をたくわえて、実りある冬を過ごしてくださいね。

161107先日、能開岐阜地区と福井地区に、元プロ野球選手・中日ドラゴンズの和田一浩さんが教育講演会で来てくださいました。

和田さんは、プロ野球ファンなら誰もが知っているスター選手です。アテネ五輪やWBCでも日本代表チームで活躍。2010年には中日ドラゴンズのリーグ優勝の原動力となり、シーズンMVPにも輝きました。2015年に通算2000本安打を達成し、イチロー選手や松井秀喜選手と同じ「名球会」への仲間入りを果たしました。

和田さんを一言で表すなら「遅咲きの努力家」です。
プロ野球界の門を叩いたのは、他の選手よりもかなり遅い24歳のときでした(ちなみに大谷翔平選手もイチロー選手も18歳で入団しています)。スタートが遅い分、即戦力としての期待が大きかったのですが、なかなか思うような結果が出ません。それでも和田さんは常に向上心を持ち、血のにじむような努力を続け、入団から6年目、30歳にしてようやくレギュラーに定着。そこから豪快な打撃が開花し、スター選手へと上り詰めていったのです。
 
岐阜と福井の講演会では、「きっと花咲く春は来る」と題し、能開の生徒と保護者の方に、自身の数々の努力のエピソードを交えながら、夢を絶対に諦めないこと、そして夢に向かって努力し続けることの大切さを熱く語ってくださいました。
その中で、とても印象に残った話があります。

「現役時代、2000試合以上に出場しましたが、毎試合“緊張”していました。スポーツも勉強もそうですが、“なるべく緊張しないように”と、緊張することをネガティブに捉えている人が多いのではないでしょうか。
私はそうは思いません。どんどん緊張してよいと思います。
なぜ人は緊張するのか。それは“うまくやりたい”という“向上心”があるからです。その“向上心”を持ち続けることを大切にしてください。
緊張しているので、いろいろ失敗することもあるでしょう。大事なのは、その失敗を次にしないように気をつけることです。そのくり返しで人は成長していけます」。
常に万全の準備で試合にのぞみ、向上心を持ち続けた和田さんだからこそ出てくる言葉なのだと思います。

何事にも全力で取り組むことで生まれる緊張感。その中にある「成長の種」を大きく成長させていきましょう。

161031「君の名は。」は、公開されてから各メディアで取り上げられているので、先日観に行ってきました。
皆さんの中にも、劇場まで足を運んで観てきた人も多いのではないでしょうか。

全編に渡ってとてもきれいな映像が流れていることで注目されていますが、肝心の内容の面白さや秀逸さについてはほとんど触れられていません。映像が素晴らしいだけではこんなにヒットしないだろうと、映画が始まるのを待っていました。

さて、鑑賞後の感想は「あたたかい気持ちになりました。」です。
観てきた人たちはどんな感想を持ったのかな、と気になります。「おもしろかったー」と思った人もいれば、「なんだかよくわからなかったなぁ」とか「こんなこと現実にはないよ」と思った人もいるでしょうね。

もちろん面白かったし、映像もきれいでした。内容的には一つのキーワードがこの映画にあったと思います。それは「ムスビ」と言う言葉です。この言葉がいくつかのシーンで出てくるのですが、このキーワードを押さえて観ていくと、物語の中で起きる出来事がどこかの事象につながり、ストーリー全体をまとめているように感じました。特に人との”結びつき”はとても大切に描かれていました。どんなに記憶が薄れても、ちゃんと大切な人との結びつきは存在していると。
とってもあったかい気持ちになりました。

私たちは一人でがんばって生きているように見えても、実は色々な人と接しながら毎日を過ごしています。
ただ大きな声であいさつを交わすだけでもいい気分になり、元気が出てきます。
ありがとうと、感謝の気持ちを伝えるとお互いに幸せな気分になれますよね。
人と接して意見を交わすと、違う考え方や自分の知らない知識などに出会い、自分の幅が広がって行くこともたくさんあります。
それに、誰かと一緒にがんばることで、自分の力を今以上に引き出して行くことも可能です。

一人で黙々と勉強に向かうことも大切ですが、人との結びつきをつくる力をつけていくことが今から大事になってくると思います。
その力をつけていくコツは、相手を知りたいという気持ちと自分を知ってもらおうという気持ちを持つことだと思います。
ゼミ体験で、日々新しい仲間が参加しています。
新しい仲間にも元気に声をかけて ”ムスビ”を作っていきませんか。

161024突然ですが、次の3つの言葉に共通すること、わかりますか。
「姫路城」 「法隆寺」 「厳島神社」
どれも名高い日本史上の建造物ではあるのですが、それだけでは不十分です。では、ヒントになるような言葉を続けます。「富士山」「屋久島」「小笠原諸島」…、さらに「ピラミッド」「万里の長城」「グランド・キャニオン」…。実は、それらはすべてユネスコによって「世界遺産」に登録されているものばかりなのです。(現在、総数は1000件以上。日本は20件。)

人類共通の貴重な財産である、地球上の素晴らしい文化財や自然環境を崇めて、国際的な協力と援助の下で保護・保全し、未来へ向けて末永く受け継いで残していくという考えに基づいた取り組みである世界遺産の中には、平和への願いや人種差別の撤廃などを考えていく上で重要な物件もあり、明確な定義付けはされていませんが、別名「負の遺産」と呼ばれているものもあります。それらは、歴史上で人類が犯した愚かな過ちの出来事を記憶に留め、同じ事を二度と起こさないための教えとしての存在意義があります。日本では、唯一、広島の「平和記念碑(原爆ドーム)」が挙げられます。

その原爆ドーム、今年の5月27日、アメリカのオバマ大統領が伊勢志摩サミット後にその地を訪問したことで改めて注目を集めました。元々、この建物は、戦前から「広島県産業奨励館」(最初は広島県物産陳列館)として運用されていましたが、あの1945年8月6日の原爆投下により、一瞬にして無惨な姿へと変貌したのでした。

戦後、広島が徐々に復興していく中で、存廃の議論が活発になり、取り壊される可能性が高くなりました。そんな折の1960年、1歳の時の被爆が原因とみられる急性白血病のため16歳で亡くなった、ある女子高生の書き遺した日記のほんのわずかな一節がきっかけで、原爆ドームは保存の方向へと大きく動き出すことになります。
「あの痛々しい産業奨励館だけが、いつまでも恐るべき原爆のことを後世に訴えかけてくれるだろう。」
この一言に民衆は感銘を受け、やがて保存を求める運動に広がっていき、1966年、永久保存が議決されました。そして、30年後の1996年の世界遺産登録へと繋がっていきます。

世界でただ一つの被爆国家として、正に原爆が投下された生々しさを世界中の人々に、そして後世の人々に伝えていくことは、他の国には決してできないとても大切な使命です。その陰に人々の心を動かした女子高生の悲しい運命がありました。彼女の平和を願う気持ちは、人類に永遠の貴重なメッセージを残していきました。

歴史は神が創るのではありません。一人ひとりの想いのうねりが、果てしない歴史を紡いでいくのです。

161017今回は「スティーブ・ジョブズ」の話をします。皆さんも知っているアイフォンやアイポッドを開発したアメリカのアップル社の創業者です。今年の10月で、ジョブズが亡くなって5年になります。

今では私たちの周りにコンピュータはあふれていますが、ジョブズが「アップルⅠ」というコンピュータを開発するまで、コンピュータは大きくて高額で、大企業などが持つ限られた機械でした。そのコンピュータを、小さくて安く、誰もが使いやすいものに変えたのがジョブズの功績です。アイフォンやアイポッドも同様ですね。音楽プレイヤーや電話機を簡単な操作で身近に携帯できるものに変えたのが、ジョブズなのです。

そんなジョブズのエピソードを一つ紹介しましょう。ジョブズは大学生の頃、つまらない授業にあきて大学を中退したのですが、「カリグラフィ」という西洋書道の授業だけはこっそりと参加し、文字のデザインの勉強に熱中していました。アルファベットの様々な書体が持つ文字の美しさに感動し、熱心に研究していたそうです。

コンピュータと西洋書道は全く別の世界で、何の関係もありません。一見、ジョブズは無駄で回り道のような勉強をしていたのですが、10年後、「アップルⅠ」の後に「マッキントッシュ」というパソコンを開発する時、西洋書道の勉強が美しい「フォント(文字)」の作ることに役立ちました。

「マッキントッシュ」以前のパソコンでは、お世辞にも美しいとは言えない、地味で無骨なフォントしか使われていませんでしたから、デザイナーをはじめとする多くの人々がジョブズの作ったマッキントッシュを支持しました。そしてそこから、パソコン用に多くのフォントが開発され、広く使われるようになったのです。

もともと「西洋書道」と「コンピュータ」は点と点で無関係な存在ですが、ジョブズはそれをつなぎ合わせて見事な成果を出したのです。亡くなる6年前に、ジョブズはスタンフォード大学の卒業式に招かれて、次のようにスピーチしています。

「将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。」

未来を信じて、今を一生懸命に生きよう、ジョブズはそう言いたかったのだと思います。