150608『ビリギャル』という映画が話題になっていますね。勉強がとても苦手な女の子(ギャル)ががんばって慶應義塾大学という、難しい大学に合格したという「大逆転」のお話です。先生も本は買って読みましたし、映画も見に行こうと思っています。 

そこで「大逆転」で思い出す、ある男の子のことについてお話します。その男の子は小5まで太っていました。そしてスポーツが苦手で足もおそく、運動会が嫌いでした。 

ところが、中学校、高校では、クラスで2番目か3番目に足が速くなり、ずっと運動会ではリレーのメンバーに選ばれ続けるようになりました。 

では5年生から6年生にかけて何があったのでしょうか? 

最初は小さなきっかけでした。5年生の時の徒競走であいかわらず最下位になった彼は、「最後の運動会では最下位になりたくない」と思い、走る練習を始めたのです。高校時代に陸上をやっていたお父さんに走り方と練習方法を習い、速く走るための走り方を身につけるために練習したのです。 

そして6年生の運動会。小1から小5までの最高順位は6人中5位だった彼が、6人中3位になったのです。 

6人中3位では、まだまだ「普通」ですね。しかし、そこで彼はとても大切なことを学びました。それまで足が遅いのは生まれつきで、「自分は足が遅い人間だ」と思っていたのです。1番にはなれなかったものの、「正しいやり方」で練習すれば「普通」にはなれるということを学んだのです。 

その後彼は、どんなスポーツでも同じように、「できないのは何かが足りない、何かが間違っているから」と考え、工夫して練習するようにしました。結果、足はどんどん速くなり、中学生になると、クラスでも2番目から3番目に足が速くなりました。所属していた少年野球チームでもキャプテンになり、「スポーツが苦手な男の子」から「スポーツマン」に大きく変わったのです。 

実は勉強でも、方程式が解けるようになったり、歴史上の人物の名前を覚えたりすることも確かに大切なのですが、もっと大切なことがあります。それは「勉強のやり方」を覚え、「続ける」ことです。 

①「できない」 
  ↓ 
②「できるようになりたい」 
  ↓ 
③「自分には無理」 
  ↓「才能がない」「忙しい」「時間がない」 
④「解決できない」 

ではなく、 

①「できない」 
  ↓ 
②「できるようになりたい」 
  ↓ 
③「できるためにどうすればいいのか?」 
  ↓「考える」「調べる」「聞く」「教わる」 
④「行動する」 
  ↓「練習する」「繰り返す」「あきらめない」 
⑤「解決する」 

にする「過程」を学ぶことが重要なのです。 
②までは誰でもたどりつきます。ポイントは③と④です。慣れないうちは③はとてもめんどうで、つかれるかもしれません。その結果④が難しくなります。 

だから、何でもいいのです。1回⑤までを経験してください。「無理!」と思っていたことで⑤を経験すると、人間は変わります。⑤を経験すると、③や④が「たいへん」だけど「いや」ではなくなります。
近づいてきた夏休みは、⑤を経験するための時間がたっぷりとれる時期です。「自分は頭が悪い」「こんなのできるわけない」と思っている人がいたら、ぜひ挑戦してみてください。

150601テスト本番で力を発揮することはなかなか難しいものですが、みなさんは「本番力」について考えたことがありますか?
「本番力」があると思う人を想像してみてください。どんなイメージを想像しましたか?きっと自信たっぷりのオーラを出している人はないでしょうか。

では一歩踏み込んで「その自信はどこから来るのか」を考えてみましょう。

みなさんが知っている戦国武将の上杉謙信が遺したと言われる「上杉家家訓」の中に「心に誤りなき時は人を畏れず」という言葉があります。これは「心にやましさがあれば戦では勝てない。やましさがなければ勝てるという意味です。
「義は我らにあり」と戦った謙信らしいですね。

さて戦国時代から現代の受験に移って考えてみると、受験本番で「心にやましさを持たない」ことはかなり重要です。なぜなら受験は入試の日だけ頑張ればいいというものではなく、入試前日までの努力が物を言うからです。
その努力の積み重ねがあるかないかで、自信が持てるか持てないかが分かれます。「もっとやっておけばよかったなあ」などと本番で心にやましさがあれば良い結果が出るわけがありません。
つまり「本番力」のある人とは「確かな努力を積み重ねた人ということなのです。「本番力」は決して生まれつきあるものではありません。だからこそ努力が必要なのです。

具体的にどのように努力すればいいのでしょうか。
それはまず「計画通りに勉強する」ことから始めてみてください。一カ月でも計画通りにできれば結構自信が持てるものです。大きな計画から小さな計画へ、今年何をするか・夏に何をするか・夏までに何をするかを考えてみてください。
この時期には夏と夏までの計画を立てることが重要です。まずは次のテストで何点とるために何をするかを決めましょう。
是非、これから強い本番力を身に付けてください。

150525突然ですが、先生は中華料理屋さんのカウンターでラーメンを食べることが大好きです。
おいしいラーメンを食べることはもちろんなのですが、その注文したラーメンが来るまでの間もワクワクします。

カウンターから厨房を見渡すと、お店のスタッフの手際の良さに注目してしまうのです。メニューにある何種類もの料理を、オーダーの順にレシピを見ることなくささっとつくりあげてしまう。単品で注文するお客さん、セットで注文するお客さん、色々な要望のお客さんに間違いなく対応しているのですから。
お店によっては喧騒の中、ホールスタッフの暗号のような指示でオーダーした料理が出てきたりするのもびっくりします。
さらに、いつ行っても量も見た目も味も変わらない。この人たちはほんとうにプロだなぁと感動すら覚えます。

よくよく厨房を眺めると、具材や道具は全て決まったところに整理整頓されています。そしてそれぞれの料理をつくる手順も決まっているようです。
単品でもセットでも基本は同じ。異なるのは組み合わせや量、使う器などでしょうか。基本の【型】がしっかりとできているので、プロの料理人は無数にある組み合わせに全て間違えることなく対応できるのですね。
お客さんのどんな注文にも応えられるように、しっかりと準備をすることはもちろん、そういう【経験値】を数多く積み重ねているからこそできるのでしょう。

これって皆さんにも当てはまりそうですね。皆さんはテキストやノート、参考書の整理整頓はできていますか?各教科、各単元の基本をしっかりとおさえていますか?
基本の【型】づくりを早期にしておけば、どんな問題も基本の組み合わせなのですから、オーダーにしっかりと対応した答えをつくることができるはずですよ。

もちろん、そのために【経験値=総量】が必要。ゴールデンウィークも終わり、ここから夏休みまでは祝日はありません。日常でしっかりと【型】をつくり、夏休みに【経験値】を積み上げていきましょう。

40年も前から「困難にたじろがないひとりで勉強できる子に」を掲げ、予習型繰り返し学習にこだわってきた能開の大先輩=先生たちの教え子が、何かのプロとして今もこの地球のどこかで社会に貢献しています。
そんな多くの先輩に続けるよう、正しい勉強の【型】を1学期の折り返し地点である今のうちに身につけて、【総量の最大化】の経験を積む夏の準備をしていきましょうね。

そしてこの夏、周りの誰もが驚くような勉強のプロを目指しましょう!
好みの味付けは、それからでも決して遅くはありませんから。

150518先週末は母の日でした。お小遣いでカーネーションをプレゼントしたりたくさんお手伝いを頑張ったりした人も多いでしょうね。
母の日に比べて父の日が盛り上がりに欠ける気がするのは、先生が父性であることのやっかみですかね。せっかくですから、今日は先生のお父さんのお話に付き合ってもらいましょう。

私の父は、今右半身が完全に麻痺していて寝たきりです。言葉も話せません。おそらく私を見ても自分の息子だとは認識できていないと思います。
実は11年前の4月、脳内出血になり突然仕事場で倒れたのです。

慌てて車に乗せ病院に運びました。覚悟をしてくださいと言われ、手術室に入ったのが病院に着いて2時間後。時計は18時を指していました。そこから待合室でただ父の無事を祈るだけの長い時間。父が手術室から出てきたのは夜2時を過ぎていました。

お医者様が私たち家族を呼び出して告げられました。
「脳の出血が止まりません。もしお望みならばもう1度手術をします。ただ、確実には止められないと思います。私たちはできる限りのことをしますのでいつでも声をかけてください。」

話し合って様子を見ることになったのですが、夜が明けた頃 病院の中庭に缶コーヒーを片手にたたずんでおられるお医者様の姿が目にとまりました。
その背中に思わず深々と頭を下げたのを、昨日のことのように覚えています。

結局父は元通りの元気な姿に戻れませんでしたが、今一生懸命生きています。歩けないので太ももも私の腕よりも細く今にも折れそうで、以前の屈強な父の姿を思い出すと思わず涙が出そうになります。

でも、お医者様に父の命を助けていただいてよかったと思っています。お医者様は夕方まで外来の診察をしながら夕方から父の手術に入り、また翌日も外来の対応をされていました。でも、疲れたなんて一言も言わずに、本当に夜通し私の父を見守ってくださったことは一生忘れません。

お医者様に救っていただいた命です。私はこれしか親孝行は出来ないなと思いながら、たまに介護の方と一緒に父をお風呂に入れます。私が息子だとは、決して気づいてはくれないけれど。

孝行したいときに親はなし、という言葉があります。せめて父が私のことを息子と認識できるうちに、好きだった晩酌くらい付き合って話をすべきだったな、と思います。

みなさんは父の日、どんな「プレゼント」をしますか。高価な物でなくてもお父さんに感謝の気持ちを伝える言葉のプレゼントだけで、きっとお父さんは喜ばれますよ。
そして出来れば、私の父を救ってくださったお医者様のように、自分を犠牲にしてでも相手の立場に立った思いやりをもった人に育ってくれたら、お父さんは涙を流すくらい喜ばれるはずです。

お金では買えない「プレゼント」は、きっとお父さんの心を豊かに満たすに違いありません。

150511GWが終わりましたが、皆さんどのように過ごしましたか?
旅行に行ったり、部活三昧だったり、もちろん勉強三昧だった人もいますよね。
先生は、というと全く違った二つの「式」に連続で参加してきました。
それは「結婚式」と「お葬式」です。
どちらにも続けて参加しての感想は、「二つの式は似ている」というものでした。
「めでたい結婚式と悲しいお葬式が似ているって何で!?」「縁起でもない!」と思う人がいるかもしれませんが、「お葬式」を悲しいもの、悲しまなくてはならないもの、ととらえているのは私たちの思い込みです。

世界にはいろいろなお葬式があるそうです。
例えば、ハワイでは、「死」を亡くなったひとの新たな旅立ちの記念ととらえて、フラダンスを踊ったり、スライドショーやビデオの上映などをしたりするそうです。こうなってくると結婚式と何が違うかわかりません。

そうです。先生はハワイ出身なのです。(ウソです。)

しんみりと悲しんだり、歌ったり、踊ったり、大声で泣いたりと、国、宗教、民族の違いなどで「お葬式」のとらえかたは随分違うようです。その全ては「こうあるべきだ」「こうに決まっている」という思い込みでできているのです。

今、君たちの前にある勉強のとらえかたも、君たち自身の思い込みに過ぎません。
自分は面倒な(と思い込んでいる)宿題、でも、楽しんでやっているA君もいるな。
自分は苦手な(と思い込んでいる)数学、でも、よだれをたらしながら喜んで取り組んでいるB君もいるな。
自分は覚えられない(と思い込んでいる)社会、でも、話し出したら5時間止まらないくらい詳しい歴女のCさんもいるな。

A君にも、B君にも、Cさんにもなれる可能性が君にはあります。

どうせなら「自分なら何でもできる!」という思い込みをしませんか?

150427先月、先生の住んでいる石川県に新幹線が開通しました。今まで東京まで4時間かかっていたのが2時間半で、お隣の富山までは今まで40分かかっていたのがわずか18分で行けるようになりました。
これでは本を読んでいるヒマも座っているヒマもないかもしれませんね。先生の家のベランダからも全力疾走する新幹線が見えますが、やはり時速260kmというのはすさまじい速さです。
実はこのくらいのスピードになると、通常では考えられない問題が起こってくるそうです。

例えばブレーキの問題がその1つです。新幹線以外の鉄道では「最高速度は時速130km」と決められています。これは、運転手が障害物を発見したときブレーキをかけて止まれる距離(600m)から計算されているそうです。
では時速260kmで走る新幹線は、ブレーキをかけてから止まるまでに何m必要だと思いますか? 答はなんと「4000m」です。4km先なんて見えるわけありませんから、つまり運転手が何かを発見してブレーキをかけても絶対に間に合わないということですね。

今から50年前に日本で初めて新幹線が開通するときも、技術者はこの問題をどうやってクリアするか色々と悩んだといいます。みなさんは、この問題をどうやって解決したかわかりますか?
実は『ブレーキをかけなくてすむように、線路内に何も入り込めなくする』方法をとったのです。ブレーキをかけても間に合わないのなら、「ブレーキをかけるような状況を作らなければ良い」というまったく逆の発想を思いついたのです。
こうして新幹線は「全線立体交差で踏切を作らない」ように作られ、さらには「新幹線の線路内への立ち入りを禁止する法律(新幹線特例法)」まで作られました。
今では当たり前に走っている新幹線も、このような発想の転換によって実現したとは驚きですね!

目の前に何か困った問題が起こったとき、「正攻法」で原因と改善を図るのはもちろん大切なことですが、どうにもこうにもならないときは「逆転の発想」をしてみるのもよいかもしれませんね。
(間違っても「能開の宿題が終わらない」から、「終わらせなくても済む方法を考える」という逆転の発想をしてはいけませんよ!?)

150420先日、井上雄彦×ガウディ展を見てきました。
井上雄彦さんは漫画家で、代表作は『スラムダンク』『バガボンド』などです。『スラムダンク』は連載終了から10年以上たっていますが、心をふるわす名言がたくさんあります。興味を持った人はぜひ一読してください。
アントニ・ガウディは19世紀から20世紀にかけてスペインのバルセロナで活躍した建築家です。サグラダ・ファアミリアが有名ですね。そのガウディの人生を井上雄彦さんが絵に描いたものやガウディの設計図や模型の展覧会でした。

「天才の仕事だ。」

ガウディは言うに及びませんが、井上雄彦さんについても同様の感想を持ちました。圧倒的な表現力に打ちのめされました。
大学時代、先生は漫画研究会(漫研)に所属していました。大学に入るまで漫画を描いたことがないどころか絵すらもろくに描いたことがありませんでした。なんの因果か成り行きで漫研に入ることになりました。
このサークル、本気で漫画を描こうとする人たちの集まりでした。先輩たちの描くものと自分が描くものの落差に愕然としました。それはそうですね。先輩たちは幼稚園のころから絵を描いていたような人たちですから、比べるのもおこがましい話です。
完全に心を折られた先生は、ある日、部長に退部のお願いをしました。「自分には才能がないので辞めせてください」と。部長は、「才能なんて関係ない。絵がうまくなりたいなら、描いて描いて描きまくるしかない」と諭されました。先生はその言葉を信じ、もう少し続けてみようと思い退部を踏みとどまりました。
それから時間があれば絵を描く生活をしました。先輩たちのようなレベルには到達しませんでしたが、以前の自分より明らかにうまく描けるようになりました。そこからは描くのが楽しくなり卒業するまで漫研にいました。

いま圧倒的な画力を有する井上雄彦さんですが、『スラムダンク』の1巻を見返してみるとうまいと言えない画力でした。現在の仕事ぶりをみて、「天才(1031)だ」「才能がある」という一言で片づけてしまいますが、子どものころから連綿と続く努力の結晶が今の姿であることを私たちは見落としがちです。
誰しも最初は出来ないものです。初めてやることですから、うまくいくはずもありません。いまでも先生の机の引き出しにはサークルに入ったばかりの絵が残っています。我ながらあまりの下手さに冷や汗が出ます。
その当時はうまく描けないから面白くない、やりたくないと思っていました。しかし、先輩の一言で我慢してやり続けることでそれなりに描けるようになりました。出来なくて苦しくても続けることでしか上達しません。それはどんな世界でも同じことです。

いま勉強ができなくて苦しい思いをしている人がいると思います。才能がないと嘆かないでください。勉強を止めないでください。みなさんは才能が不足しているのではありません。勉強をしている時間が、努力の量が不足しているだけです。
苦しい時間を乗り越えた先に本当の楽しさ面白さが分かります。あきらめず続けてみてください。

スラムダンクに登場する安西先生も言っています。
「あきらめたらそこで試合終了ですよ」

150413皆さんは「アマゴ」と言う魚を知っていますか?
サケの仲間で、一生を河で過ごす魚です。
先生の住んでいる岐阜県の長良川は、天然のアマゴで有名です。多くの釣り人が、とても長い釣竿を使ってアマゴを釣っています。
4月の今ぐらいの時期から5月にかけて旬を迎え、塩焼きにして食べるとほっぺたが落ちるほどおいしいですよ。

また、アマゴはとても縄張り意識が強い魚でもあります。
河の決まった場所に自分だけの住処を持って、他のアマゴが来ると体当たりをして追い払います。当然、体の大きな強いアマゴはより広くて、えさが豊富な縄張りを持ち、中くらいのアマゴは少し狭い縄張りを持ちます。
そして住みやすい場所は限られていますから、さらに体が小さいアマゴはほんの少ししか縄張りを持てません。

では、さらにさらに体が小さいアマゴはどうでしょう。
彼らは縄張りを持つことができません。住みやすい場所は全て別の、体の大きなアマゴにとられてしまったからです。仕方なしに小さなアマゴは河を下っていきます。海へ下るわけです。
でも、アマゴの体は淡水(しょっぱくない水)で生活するようにできているので、海水(しょっぱい水)の中ではとても息苦しいわけです。海へ下ったアマゴの中には途中で命を落とすアマゴもたくさん居ます。

こうしてやっとの思いで海へ下った小さなアマゴは、広い海で大きな縄張りを持つことができます。つらい海水のなかで懸命に努力するわけですね。広い縄張りと豊富なえさのおかげで、海へ下った小さなアマゴの体はぐんぐんと成長します。
そして、河で広い縄張りを持っていた大きなアマゴよりもさらに体が大きくなったころ、深緑色だった鱗がなんと銀色に変わるのです。
全身が銀色のうろこに包まれた大きなアマゴは「サツキマス」と呼ばれるようになります。

かつて体が小さかったアマゴは、数々のつらい事苦しい事を乗り越えて大きく成長しサツキマスになりました。いつもいつも楽に成長できるわけではありません。
これは人間でも一緒です。今までよりも難しい問題にチャレンジするとき、新しい友達と最初に会話するとき、通う学校が変わったとき・・・・・・。つらいと思うことがあるかもしれません。しかしつらいと思うことを乗り越えようとがんばっている時に、人は一番成長します。
つらい事から逃げずに努力を続けることが一番大切なことだと先生は思います。

最後にサツキマスの話をもう少ししましょう。海へ下ってサツキマスになったアマゴは、ある時期に故郷の河へ帰ります。そうすると、河にずっと住んでいたアマゴは体の大きさにびっくりして尻尾を巻いて逃げ出します。
こうして小さかったアマゴはサツキマスとなって、最後には一番大きな縄張りを得ることになるわけです。

150406この原稿を書いている3/30現在、春の選抜高校野球選手権大会では4強(ベスト4)が出そろっています。
先生の地元(福井県)からは、敦賀気比高校が昨年の夏の大会に続いて4強に入っています。
昨日の準決勝では静岡高校と対戦し、9回裏でのサヨナラ勝利を収めた今年の敦賀気比。確かに野球は9回裏・2アウト以降(あと一人…)の土壇場でのサヨナラや逆転が起こりうるスポーツ。観客はこういった展開に大いに感動し、純粋でまっすぐな高校生たちの「ドラマ」に気持ちが高揚します。
(※編集部注 4月1日に敦賀気比高校は北陸勢で初優勝を成し遂げました)

先生が学生時代、地元の福井商業高校が春の選抜大会で準優勝しました。北陸代表としては初の準優勝だったと記憶しています。このときの決勝戦は、今でも脳裏に焼きついています。
結果は0-2で浜松商業に敗れたのですが、当時の常識(世間の前評判)では、特に春の大会は「雪国の代表校は勝てない」というものでした。理由は単純。冬場は積雪や降雪のために練習ができないから(不利だから)というものでした。しかし、そんな理由は昨今の各種スポーツの結果をみる限り、何の根拠にもならない気がします。
冬場に屋外練習する機会に恵まれない分、屋内でどうトレーニングしていくか。まさに、物理的な(外的な)マイナス要素をいかにプラスに転じさせるかを「メンタル面」も含めて「コーチング」していく監督やコーチ、そして保護者の支え。こういった要素が選手たちのモチベーションや総合的な力を確実に上げていくのだと感じています。
今大会は高校生の野球の全国大会が開催されてから100年目の記念すべき大会だと、テレビで数十年ぶりに「開会式」を観たときに知ったのですが、敦賀気比高主将の篠原くんの落ち着いて一言一言をかみ締めるような選手宣誓の中には「大好きな野球ができることへの周りのみなさんへの感謝の言葉」がしっかりと入っており、こちらも大いに感動しました。
 
さて、ティエラに通うみなさんは、目標に向かっての新しい年度のスタートを切りました。自分自身の向上心の元、あるいは家族の期待や願いを受けての「通う目的」を持ってのスタートです。

9回裏でのサヨナラや逆転劇を入試や進学時に見せるというより、自分の目標を「高く
掲げて、この1年で「どうやってそこに到達するのか」を先生たちと共有しながらスタートするような「逆算の思考」で春のスタートを切りませんか?
「先行型で確実にステップアップ! 節目節目を迎えるまでの「先を見越した生活実践!
「能開五訓」の中の「断じて中途でやめるな。中断はゼロである。」というフレーズを今一度みなさんと共有して、新しい道を「永く」歩みたいと考えています。

150330春の時期、古来より人々の心をつかんで離さない、桜。
歴史では日本独特の文化が生まれた平安時代以降、花といえば桜をさすほど日本では馴染みのある植物です。満開に咲きほこる艶やかさは新しい出会いのワクワクさを連想させ、その反面散り際の潔さは武士のはかなさを現してもいるようでもあり趣深いですね。
さて、その桜の花がきれいに咲く条件を皆さんはしっていますか。

桜は冬の厳しい寒さのもときれいな花のもとをせっせと作り、春の暖かさを感じ一気に開花します。厳しい環境は大きな力を蓄える条件なのです。ある程度の期間寒さにさらされないと開花できないのです。
このことは皆さんも同じではないでしょうか。これからの人生、苦しいと感じる体験が待ち構えているかもしれない。大きな壁が立ちはだかるかもしれない。もしかすると能開の予習や宿題、ノート評価の厳しさもそうかもしれませんね。ですが、その苦しさを乗り越えた先に本当の愉しさがあるのです。
桜が花を咲かせるには日本のようなはっきりとした四季が必要であり、みなさんがこれからの人生で笑顔を咲かすには強い意識、はっきりとした士気が必要になります。
ワンランク上の目標は簡単には届かないものです。だからこそ覚えておいて欲しいことは、厳しさは必ず皆さんの成長につながるということです。
来年度も様々なことに挑戦してください。

最後に、受験生が困難な時期をのりこえ手にした受験合格の便りを「桜、咲く」と表現することは風情があって素敵だと思いませんか。