先生は昔から映画を観ることが好きでした。
ストーリーが終わるとすぐにテレビを消して「はい、おしまい。あ~面白かった~!」
でもある人からこんなお話を聞いて、ちょっとだけ映画の楽しみ方が変わりました。

「映画が終わってから流れるエンドクレジット、あれがまたいい感じなんだよな~」

エンドクレジットとは、簡単に言うと、映画が終わったあとに、その映画をつくった人や
協力してくれた人や会社の名前が流れている部分です。
先生にはその人の言うことが理解できませんでした。
「名前とかがひたすら音楽といっしょに流れてくるだけでしょ?」そう思っていたからです。
先生はその人に質問をしました。
「何で?どこがいいの?だってお話は終わったじゃない?」と。

するとその人は言いました。
「だって、この映画を最後まで完成させるために、こんなにたくさんの人ががんばったんだよ。面白かった!って今思えたり、感動できたりするのは、出会ったことのないたくさんの人のおかげなんだよ。だから僕は、映画は最後の最後、エンドクレジットが終わるまで観てこそ、本当にその映画を楽しんだと言えると思うんだ。」と。

先生はびっくりしました。
その話を聞いてから、先生はエンドクレジットが終わるまで映画を観るようになりました。
1時間半、2時間という作品を創り上げるために関わったたくさんの人たちや会社の名前。
きっと作品をつくった人たちにとっては、
「みんなでがんばれてよかった。関わったみんな、ありがとう。観てくれたみんな、ありがとう。」
また、観ている人たちにとっては、
「こんなすてきな映画をつくってくれてありがとう。」
<ありがとうがたくさん伝わる時間>それがエンドクレジットだと考えるようになりました。

作品に関わった人に直接「ありがとう」を言うことはできないけれど、たとえば外国の映画であれば、1人でも名前が読めたら、その人への「ありがとう」の代わりになるのではないかと思いました。うっかりするとシューッと人の名前が上に流れていってしまうので、先生にとってはスピードも勝負!出てきた登場人物の名前がわかるとうれしくなったり、読めん!という名前で困ったり、英語じゃないし!という別の言語に迷ったり(笑)。途中からはちょっと変わった楽しみ方もしていましたね。
みなさんがこれから過ごす夏休みにも、きっと色々な人が関わってくることでしょう。
主人公は自分。そして周りにいる人たちがあなたの物語を彩ってくれます。
山あり谷ありの冒険話、ジーンと感動するようなストーリー、ゲラゲラ笑い転げそうになるおもしろい話など、どんなお話になるのでしょう?

夏が始まる前の今だからこそ、伝えます。夏が終わったときに、関わった人たちみんなに「ありがとう」と思えるようになってほしい。そして、本当にありがとうと言える人になるには、やっぱり全力でがんばること。映画に関わった人ががんばったからこそ、観た人が感動するのと同じ。適当な人の「ありがとう」はうすっぺらい。力いっぱいがんばった人の「ありがとう」はきっとたくさんの人に届くはずです。

「ありがとうを言いたい人がたくさんいます!」
エンドクレジットにたくさんの人の名前がある。そんな夏休みになりますように。