171016もう2学期ですから小中高のどの受験生も、今の学力と合格に必要な学力が気になっている頃だと思います。やるべきことをやったのに、なかなか成績が思うように上がらず、時にはライバルとの学力が気になる人もいると思います。「自分には○○の科目ができる素質がない」とか「□□さんは頭が良いから…、私は…」という声が生徒から聞こえてきたりもします。
確かに全員が暗記力、論理力、思考力が同じわけではありません。だからこそライバルにはできなくて、自分ができる得意なことはありませんか?

少し前ですが吉田都さんという人がいました。元英国ロイヤルバレエ団のプリンシパル(最高位)を務めた女性で、気品があり、表現力が豊かなダンサーです。
彼女は外国の有名なコンクールで受賞した後、ロイヤルバレエ学校に留学しますが、その際に日本人であるという「どうしようもなさ」を感じたそうです。欧米の人に比べ、日本人は手足が短く、顔の彫りが浅いので同じように舞台化粧をしても映えない、欧米の人は立っているだけでバレリーナの素敵な雰囲気が醸し出されるなどです。

しかし彼女はその現状をいったん受け止めて、美しく見えるメイクの仕方や、自分の足が一番美しく見えるラインの研究、自分だけの表現の追及を日々の稽古に加えて取り組みました。その結果、まだ英語もできない状況にもかかわらず、バーミンガムロイヤルバレエ団のオーディションに合格できたのです。

そして彼女はそれからも切磋琢磨を続け、同バレエ団のプリンシパルに、さらには英国ロイヤルバレエ団のプリンシパルになりました。彼女が40代になって人生を振り返った時に、バレエのおいても日本人だからこその良さがあることに気づいたそうです。細やかな表現、関節が硬いため回転技術が優れていたり、足が短いからこそ早いステップが得意だとか。

自分の欠点に悩んでいるみなさん、時間はどんどん経ってしまいます。それよりは、今の状態を分析し、受け止め、工夫してもう一度取り組んでいこうではありませんか。脳には汎化(はんか)という作用があり、一つの分野の能力が高まれば、他の分野も引き上げられていきます。きっとあなたの得意な能力が、苦手な部分を手助けしてくれるでしょう。

自分に自信をもって、一歩を踏み出してみませんか。

171010国 1、数 1、社 1、理 1、英 1、音 1、美 1、技 1、体 1

突然ですが、上の数字は何だと思いますか? 中学生はピンときたかもしれません。そう、中学校の成績(通知表)です。宮本延春さん(46歳)という方が中学1年生の1学期に受け取った、いわゆる「オール1」。
いじめと家庭環境が原因で勉強に手がつかず、小学2年生で学校の授業に付いていけなくなったそうです。中学卒業時の学力は、「九九は2の段までしか言えない」「英単語は book しか書けない」「漢字は自分の名前しか書けない」という、散々な状態。
そして、この方の現在の職業は……なんと高校の数学教師です!

中学校を卒業するものの、高校に進学できる訳がなく、アルバイトで職を転々としながら過ごす日々。
一人っ子である上に両親にも先立たれ、孤独な生活を送っていた宮本さんに転機が訪れたのは、23歳のとき。何気なく観ていたテレビ番組でアインシュタイン博士の「相対性理論」と出会い、今まで味わったことのないような知的興奮を覚えます。
「世界を見る目が一変した」というこの劇的な体験がきっかけとなって、物理学に興味を持ち、大学進学を決意。小学校3年生の算数ドリルを手に取り勉強を再スタート。働きながら定時制高校に通い血のにじむ様な努力を重ね、超難関の名古屋大学に見事現役で合格を果たします。大学入学後も「失われた年月」を取り戻すために勉強を続け、36歳で初めて高校の教壇に立つに至ったのです。

この話を通して皆さんに伝えたいこと。それは、「夢や目標を持つこと」はとてつもなく大きなエネルギーを秘めている、という点です。行きたい高校・行きたい大学・進むべき道・憧れの職業。それが見つかったとき、「やらされる勉強」が「自らやる勉強」に生まれ変わります!
しかし、夢や目標はそう簡単には見つかりません。だからこそ、いろんな経験をしてほしいのです。遊びや読書・合宿などを通して、自然や人や興味のある分野とふれ合ってください。中学生は高校・大学・職業について真剣に考えてみてください。必ず、夢や目標は見つかります!
そして、それが見つかったときにチャレンジできる立ち位置にいられるよう、今やるべき学業に励んでください。勉強や習い事、学校行事などに追われる日々が続くと、どうしても視野が狭まりがちになります。皆さんには広い視野で先まで見据えながら、今を生きてほしいと願っています。

171002今日は、相撲の話題です。この秋場所を一人横綱で闘い抜いた日馬富士(はるまふじ)の話です。彼は全身にけがを抱え、今までも休場しながら、相撲を取ってきました。必ずしもいいコンディションで取り組みを迎える訳ではありません。今場所は、3人の横綱が初日から休場し(相撲の試合を休み)、ひじにサポーターがトレードマークである横綱の日馬富士の、後に引けないプレッシャーは相当なものだったでしょう。序盤戦(本場所の15日の内の7日目まで)で4敗し、周りから引退を噂された日馬富士。14日目が終わった時点で、彼は10勝4敗。首位で走っていた大関の豪栄道は11勝3敗。千秋楽で直接対決という場面を迎えました。もう負けられない日馬富士。その一番(相撲の取り組み)で豪栄道に勝って、11勝4敗の相星(引き分け)となり、優勝決定戦にもつれ込み、再び大関を下して逆転優勝しました。

大相撲では大抵の場合、全勝か1敗、多くとも2敗までで優勝が決まるのですが、日馬富士は初日と、3日目から5日目までの3日連続で負け、対戦相手に金星(勝ち)を与えることとなり、苦しいスタートでした。しかしその後は負け崩れることなく、最後の最後まで粘り、土壇場でひっくり返して優勝したのです。崖っぷちに立っても、「気持ちだけは負けないように前を向いて相撲を取りました。」と語っていました。諦めないことを学んだと。

一方、絶対優勝できるところにいたのに負け出した豪栄道。ライバルが負けていく中で楽勝かと思われたのですが、絶対なんてあり得ないですね。「勝つことの重圧」が彼のプレッシャーになりました。来場所は綱取り(横綱への昇進)の場所にもならないという見解を示されました。相撲の優勝杯である賜杯(しはい)と、綱取りのチャンスまでも一気に失いました。豪栄道は「いつか、これがあったからよかったと言える相撲人生にしたい」という言葉を残しています。

優勝というプレッシャーに負けた豪栄道、一人横綱と4敗の重圧に打ち勝った日馬富士。勝負に勝つ前に、色々なものに勝つ必要があるのです。勝っても負けても、学べることがあります。プレッシャーをはねのけ、学んだことを活かし、勝ちを取りに行ける、そんな強い心を育てていきたいですね。百戦練磨で鍛えていきましょう。

最後に、「土俵の上では一人に見えても、支えてくれている人がいるから土俵に上がれる」と、日馬富士は感謝していたそうです。みなさんの周りにも応援している人がたくさんいますよ。

170925もう夜はすっかり冷えるようになってしまい、あの暑い夏はどこへやら。太陽頑張れ!
さて、ティエラの夏と言えば合宿ですよね。今年もたくさんの生徒が様々な合宿で大きく成長してくれたと思います。今日は先生の夏休みの冒険の話をしましょう。

少年田中はその時小学4年生。とにかく元気がありあまっていました。夏休みのとある日、少年は友達と2人で近くの海に遊びにいきます。なぜかその日、海岸ではクイズ大会がひらかれていました。頭脳を使う催し事を、夏の海岸でやってしまうってどうなんだ!?と今さらながら思いますが、そんな疑問は少年田中の頭にはまったくよぎらず、とにかく景品をゲットすることに燃えていました。
しかし、大人も参加していたその大会で、小学4年の田中、力及ばずボロ負けです。泣きに泣きました。その時、準優勝したおじさんが「これいるか?」と大きな箱を差し出してきました。それは大きなゴムボートでした。おじさんにとっては持ってかえるのも面倒くさいものだったかも知れませんが、少年田中には後光を放つほどの宝船に見えました。同時に少年の目が捉えていたものは対岸に悠然と浮かぶ“淡路島”でした。

「行けるんか!?」友達は大声です。
「引き潮の流れに合わせたら行ける!」私はさらに大きな声で言いました。
私たちは対岸に浮かぶ淡路島を目指して、お茶2ℓ、そして塩分補給のためにポテチを5袋用意しました。そして翌日、砂浜でボートを膨らませる2人の士気は最高潮です。パンパンになった愛船に乗り込み、大海原へと漕ぎ出しました。漕ぎはじめて5分、いつもの“海の果て”がやってきました。ブイ(浮き)が浮いてあるラインです。
「よっしゃー越えたれー!!」
と、意気揚々遊泳区域を越えた瞬間、言葉に出来ない緊張に包まれました。
(サメがきたらどうしよう)
(水深何メートル?)
(生きて帰れる?)など
しかし、自分から淡路島へ行くと言ったのに逃げることはできません。怖さをふりきるためにも必死でオールをまわしつづけました。波の音ひとつひとつが生き物のように感じます。なぜか恐怖はゴムボートをゆずってくれたおじさんへの怒りとなってきました。
「あのおっさんがゴムボートくれるからこんな目にあってるんや…」
もう限界です。淡路島なんてどうでもいい。もう帰りたい。
(もう帰ろう)その言葉を口にしようとしたとき、目の前にあったのは、涙を浮かべながらオールを漕ぐ友達の顔でした。2人とも絶望的なまでに怖かったのです。阿吽の呼吸でボートを反転させ、来たときの倍の力で漕ぎ出した私たちは、海岸にたどり着くと塩分補給用に備えてあったポテチを食べ、二度とゴムボートで淡路島を目指さないことを誓い合いました。あの時のポテチの味なんて1ミリも覚えていませんが、恐怖だけは覚えています。

先生はなぜこんな“無謀”とわかりきっている冒険に挑むことが出来たのか。それは恐怖を体験したことがなかったからです。今同じことができるかと言われると出来ません。それは恐怖を“知っている”からです。
人間は経験から学ぶことができます。しかし、時にそれは自分の限界を超えるチャレンジの邪魔者になることもあります。“結局こうなるだろうな”“また失敗するだろうな”と経験があるがゆえに弱気になっていることはありませんか?昨日まで出来なかったことを超えていくために、時には“無謀”とも思えることに挑戦することが必要になることもあるのです。
さて、先生もゴムボートを買いにいってきます。

1709199月になり受験生は本格的な追い込みの学習がスタートしてきます。
勉強が好きでなくても、入試という現実的な壁は時間を追うごとに迫ってきます。

現実的な壁と心の壁は別物だと先生は認識していますし、皆さんも認識しましょう。
心の壁とは自分自身が作ってしまう壁のことです。
例えば、「目標通り学習が進まない」「成績が上がらない」など、ネガティブになってしまうことが心の壁です。

この壁は自分自身が取り払えるのではないでしょうか。
現実的な壁は避けられませんが、心の壁はいつでも新しい壁を作ることはできます。
1つの心の壁が苦痛になれば消去すれば済みます。
いつまでも壁と立ち向かっても越えられないなら切り替えることが大事です。

この心のジャッジが受験生には必要と思います。

そこで、次に現れるのが「心象風景」でしょう。
この風景は無敵ですよ。
心の中で良いイメージを持ち、その良いイメージに向かって自分が進んでいることを想い浮かべるだけです。

例えば、「成績が上がって褒められる風景」「部活で活躍している風景」「志望校に合格した瞬間の風景」などいろんな前向きな風景を描くことができます。

どのように自分自身をコントロールしていくか。
受験だけでなく、これからの人生で「心象風景」は自分自身を高めていくアイテムになりますよ。費用は無料です。

170911みなさんが日頃、勉強した成果は、学校のテストや受験などで結果として表れます。そのためには情報を記憶する、それも短期間で大量に覚えた人が有利です。
思考力? 作文力? それらも経験値をパターン化して覚えればよいわけです。
では、効率よく学習するにはどうすればいいでしょうか。語呂合わせや暗記法、一問一答などでラクして覚えるよりも、参考書やインターネットでじっくり調べながら、しっかり記憶が定着するように科目の枠を超えて学習してみませんか?
例としてことわざ「急がば回れ」を楽しみながら覚えてみましょう。このことわざは、わざわざ遠回りをしなさい、というわけではなく、「選択を誤るな。充分な情報をもって事にあたれ」ということです。

昔、連歌師の「宗長(そうちょう)」が詠んだ
「武士(もののふ)の矢橋(やばせ)の船は早くとも 急がば回れ瀬田の長橋」
という歌がこのことわざのもとになっています。
「東海道で京まで行くには矢橋の渡し船を使って琵琶湖を横断したほうが近道だが、琵琶湖西側にある標高848mの比叡山から吹き降ろす突風で船が転覆する危険があるため、確実な移動方法を選ぶならば瀬田の唐橋(長橋)を渡って大津に行くほうが良い」

琵琶湖と言えば滋賀県にある日本一の面積を誇る湖です。そしてここで向かう場所は大津(現在の滋賀県県庁所在地)です。その西部にある比叡山延暦寺は、最澄が建立したのですが、比叡山が天台宗の修行場としてふさわしい「厳しい自然環境」だったこともうかがわれます。
また、昔の戦術においても、味方同士が待ち合わせて同時攻撃をするためには渡し舟では到着時刻が不確定なため、瀬田の唐橋経由で正確な合流時刻を決めた、とも言われます。「唐橋を制する者は天下を制す」というくらい、ここでは歴史上多くの戦がありました。
こういったことをなぞらえながら覚えていくことが国語(ことわざ)・算数(速さ)・理科(季節風)・社会(歴史・地理)を学習する、ということではないでしょうか。

早く着くことが目的ではなく、勝つことが目的
早く覚えることが目的ではなく、深く理解することが目的

むやみやたら勉強するのではなく、じっくり考えながら、自分なりの策を練って2学期の戦(定期テスト、検定試験)に備えましょう。

170904「あなたが言う『美しいもの』とはどういうものですか」

写真に興味を持ち、カメラの使い方と、写真の取り方を教えてくれるセミナーに参加してきました。旅先での風景を見たままきれいに撮影できれば楽しいだろうな、と思ったからです。冒頭の言葉は、そのセミナーでカメラマンの先生がおっしゃったことです。そして、「『美しいもの』とは人それぞれに感じ方が違うもの。私が美しいと思うものを、あなたはそう思わないかもしれない。感じ方は人それぞれ。あなたの『美しい』はどういうものなのか、具体的な言葉で説明してもらわないと、美しくとるための的確なアドバイスはできない」と。
そのカメラマンの先生が美しいと感じるのは「コントラスト」で、光の明暗、色の対比に美しさを感じるそうです。そんな写真を撮るために、撮影場所を事前に何度も見に行ったり、撮影当日の天気を確認したりと様々な準備をし、機材を整えてから撮影に臨むとおっしゃっていました。

さて、皆さんは身近にあることを、具体的な言葉で言い表してみたことはありますか。皆さんは学生ですから、「受験」や「勉強」について考えてみましょう。
「あなたが言う『受験』/『勉強』とはどういうものですか」
例えば、ある生徒はこう答えました。
「受験」とは将来の夢を叶えるためにある。だから、毎日必ず最低3時間以上は机に向かい、定期テストは、絶対8割取るぞ!

当たり前にあるものを「こういうものだ」と具体的に言うのは難しいかもしれませんが、具体的な言葉を使って自分の考えをまとめると、そこに近づくために自分がしなければならないことがはっきりしますし、それは目標にもなります。具体的になった自分の考えや目標を、周りの人たちに伝え、共有することができれば、的確なアドバイスが得られる機会も増えることになります。

2学期のスタートです。「よし、がんばろう!」と前向きな気持ちを持ってスタートを切ることは大切なことです。新たな始まりのとき、せっかくですから、何をどうがんばるのかを具体的な言葉にして、それを達成するために自分は何をすればよいのかを考えてスタートを切ってみるのはどうでしょうか。

170828今年もティエラの夏合宿が終わりました。みなさんの中には、いずれかのコースに参加して一生懸命頑張った人も多いことでしょう。

さて、「東京トップリーダー合宿」では今年、日本の「ものづくり」を支えている東京都大田区の町工場を訪ねました。大田区では、その世界に誇る高い技術力を持った町工場が力を合わせ、冬季オリンピックで走るボブスレーを開発する「下町ボブスレーネットワークプロジェクト」が進められています。大田区で作ったボブスレーがオリンピックの舞台で活躍することで、その最高レベルの技術を世界にアピールしようというわけです。
より速く走れるそりを目指して、何度も挑戦し、2018年のピョンチャン五輪では、なんとジャマイカチームがその機体に乗ることが決定しました。他国のボブスレーのそりは、BMWやフェラーリなど、世界的に超有名な自動車メーカーが関わって作っているわけですから、日本の小さな町工場の作ったそりがオリンピックに登場するなんて、本当にすごいことなのです。(ちなみに日本のチームは、ドイツ製のそりで走るのだそう…)
合宿では、この「下町ボブスレー」で、そりを発進させるときに選手が押す“プッシュバー”という部品を作っている会社の社長さんにお話を聞くことができました。
社長さんは、この「下町ボブスレー」を通じて、町工場同志の絆が深まったとおっしゃっています。大田区では「仲間まわし」という文化があり、一つの会社ではできないことも、それぞれの得意な部分をまわし合うことで、高性能な製品を短期間で作り上げることができるという強みがあります。まさに、「下町ボブスレー」のそりも、この「仲間まわし」によって作られています。しかし、工場の数がどんどん減っていったり、取引先が地方にあったりすることで、「下町ボブスレー」に参加するまで、どんな会社なのかくわしく知らなかったり、他の町工場に親しい人はいなかったのだとか。でも、同じ夢に向かって力を合わせるようになったことで、相手のことを知ることができ、互いの状況を考えて仕事をし、熱意やプロ意識を共有しながら、信頼し合って仕事ができる関係へと変わっていったのだそうです。
一人ではできないことも、それぞれが全力で頑張り協力すれば、素晴らしい結果を生み出すことができるのですね。

ふと、合宿に参加していた生徒のみんなの、話に耳を傾ける真剣な表情を見ながら、これはまさに合宿でも同じことだなとしみじみと思いました。最初はよく知らないメンバーで班を作り、少しずつ打ち解けて、目標を達成するために自分の役割を果たし、お互いを思いやる──。
合宿という場所で、大田区の「仲間まわし」と同じことを、みんなは体験しているんじゃないかと思ったのです。東京トップだけではなく、他の合宿でも同じでしょう。合宿という日常を離れた場所で、一緒に頑張った「仲間」が、合宿に参加したみなさんにはきっといるはずです。そこで共に分かち合った喜びや苦しみを、決してその合宿かぎりのものにしないでください。ふだんの生活では、一人で頑張らなければならないこともあるでしょう。しんどいなと感じる時もあるでしょうが、そんな時こそ、「みんなとあんなに頑張ったんだから絶対大丈夫!」と自分にはっぱをかけてください。
この夏、仲間と踏み出した一歩を、もっと前進させるために、本物のエネルギーに変えるために、自分と仲間の力を信じて、秋からも頑張っていきましょう!

170821今年の夏合宿でも、各地で受験合宿が開催され、多くの受験生が参加しました。

受験合宿には「入試体験」というプログラムがあります。この入試体験では、合宿に参加している生徒たちが、志望校選びから願書提出、試験本番、そして合格発表と、本番さながらの流れで、入試を体験します。

合宿の中でのプログラムとはいえ、最後の合格発表は緊張の瞬間です。合格した生徒と不合格だった生徒が一瞬で分かれ、歓声や落胆のため息が聞こえてきます。

この入試体験で合格できた人には「おめでとう」と言いたいですね。でも本物の入試での合格の喜びは、この数十倍以上の感動や喜びがあります。その喜びを本当に味わえるように、9月からも気持ちを緩めることなく勉強を続けてください。入試体験で不合格だった人が死に物狂いで追い上げてきますから、油断はできませんよ。

逆にこの入試体験で不合格だった人は、この時期で良かったと思ってください。本気になれば、まだまだ追い上げることができます。大切なのは今までの自分に足りなかったことが何かをしっかり見つめること。勉強とゲームの時間を区別せずダラダラしていなかったか、授業と授業のスキマ時間を無駄にしていなかったか、目標を設けずに毎日の勉強を何となく続けていなかったか…。そういったことを見直せば、本番の入試で合格できるチャンスは十分にあります。

入試体験で合格した人も不合格だった人も、大切なのは頭のスイッチを切り替えて「本物の受験生になる」と決意すること、そして受験生としてやるべきことを実行することです(何をするべきかは、能開の先生に相談してください)。受験合宿に参加できなかった人も同じですね。あと数ヵ月後に間違いなく受験がやってくるわけですから、ここからが本当の勝負だと思ってください。

過去に合格した先輩たちは、夏合宿や夏講習をきっかけに、本気で受験勉強に取り組んだという声が少なくありませんでした。そう、合否を分けるのはここからの数ヶ月の過ごし方です。本物の受験生になって、来年の春に合格を勝ち取ってください。先生たちが応援しています。

170807「男子、三日会わざれば刮目(かつもく)して見よ」という慣用句があります。原文は『三国志演義』が出典で、呉(ご)の武将(ぶしょう)呂蒙(りょもう)の故事から出ています。

こんな逸話(いつわ)です。

呂蒙という人は、呉王(ごおう)孫権(そんけん)に度々重んじられてきましたが、家がもともと貧しく、学問に触れる機会もなかったこともあり、武力一辺倒で学問に全く興味のない人でした。そのため、書類なども自分が話した内容を聞き取らせて、部下に作成してもらっていたそうです。そんな呂蒙の学識のなさを笑って、人々は、「呉下の阿蒙(ごかのあもう)」とからかっていたのです。「阿蒙」というのは、今で言う「蒙ちゃん」といったニュアンスで、さげすんだ言い方ではなく、親しみを込めて、「おばかな蒙ちゃん」的な感じでからかっていました。
そんないつまでも「阿蒙」のままでいる呂蒙を見かねた呉王孫権は呂蒙に学問を勧めましたが、はじめのうち呂蒙は「軍中は何かと忙しく、書物を読む時間を取れない」と言い返していました。しかし、孫権は「博士になろうとしなくていいから、歴史を見渡して見識を広めてみてはどうか」と、どの書物を読んで学ぶべきかを教えたともいいます。国王にそこまで言われたら、やらざるをえません。呂蒙は発奮して、勉学にも本腰を入れ、やがて本職の儒学者たちをもしのぐほど読書をし、勉強を続け、見る見るうちに教養を身につけます。
勇猛(ゆうもう)なだけで無学であった呂蒙を軽蔑(けいべつ)していた知識人の魯粛(ろしゅく)は、日に日に上がる呂蒙の評判を聞いて挨拶(あいさつ)に向かいました。実際に語り合った呂蒙は、以前とは比べ物にならないくらい豊かな学識を兼ね備えた大人物へと成長していたのです。
おどろいた魯粛は、「昔言われていた『呉下の阿蒙』であったとはとても思えない」と称賛(しょうさん)しました。これに対して呂蒙は「士別れて三日、即(すなわ)ち更(さら)に刮目(かつもく)して相待すべし」、つまり「士たるもの、別れて三日もすれば大いに成長しているものであって、また次に会う時が目をこすって違う目でみなければなりませんよ」と答えたのです。

人間だれもが能力を持っている。外見からはわからないほど、色々な能力をもっているのである。この慣用句も、三日間というわずかな時間でも人間は変わることができるということを言っているのですが、この呂蒙の逸話から、みなさんには3つの大切な事をわかってもらいたいのです。

一つは、孫権が呂蒙に学問を勧めたこと。つまり、変わるための「きっかけ」があったとうこと。
一つは、呂蒙が変わることができたのは、変わるために勉学に励むなど努力を続けたということ。つまり、人は自分の考え方や行いを「変える」ことで、変わるんだということ。
一つは、呂蒙は、自分のためを思って言ってくれる孫権の言葉を「素直」に受け入れたこと。
つまり呂蒙は、孫権の言葉を「きっかけ」に、「素直」にその言葉に従い、自分を「変える」ための努力を惜しまなかったことで大いに成長できたのです。

この夏、君たちは講習会や合宿などで、多くの「きっかけ」に出会えると思います。そんな「きっかけ」をうまくつかんで、自分を変えてみませんか。