最近、テレビ番組(ほんまでっかTV)に出演をされていた斎藤孝先生の「子どもと声に出して読みたい実語教」という本を読みました。斎藤孝先生は明治大学文学部の教授です。実語教とは平安末期~明治初期まで広く用いられていた初歩の道徳の教科書です。

江戸時代では寺子屋でも広く活用されていました。斎藤先生は「実語教」のことを「日本人千年の教科書」と呼んでいます。よく考えると1000年間も読み続けられた教えってすごいですね。その中には心に残る教えがたくさんあったのですが、今日はその一つを話してみたいと思います。

実語教の中に
「習い読むといえども復せざれば、只(ただ)隣の財を計うるが如し。」
とあります。どういうことでしょうか。

勉強をするのも、本を読むのも、一度だけではなく繰り返しやらなければ、ただ隣の財産を数えるようなものです。それだけでは自分のものになりませんよ。という意味です。

昔の人は、いい本を何度も何度もすりきれるほど読みました。今は、インターネットの時代で情報はいくらでも手に入ります。勉強に関しても、問題集や参考書もあふれていますが、それを一度読んだだけ、解いただけでは理解をできたとはいえません。

今から予習をしたいので、新しい知識が必要ですという人は別ですが、今まで習ってきたことで身についていないと感じている人は、繰り返し繰り返し、今までしてきた問題集を自分のものになるまでやってみましょう。中学3年生であれば百戦錬磨ですね。

良い問題集を何回も繰り返しやって解き方を完全にマスターしてしまうと、初めて見る問題でも「これはあの問題とあの問題の組み合わせだな」と気づくようになります。応用ができるのです。1回や2回解いただけだと、なかなかそこまいきつきません。

受験前になると、何か別に新しいことをしないと…と、浮足立つ生徒もみられますが、そういう時こそ、今までやってきたことを自分のものにできたという感覚までやってほしいですね。