皆さんはお裁縫は好きですか?先生は学校の家庭科でもあまり得意ではなかったので、今でもたまにお裁縫をする必要がある時は、ちょっとドキドキしながら針を使っています。

今はミシンもあるし、針と糸を使ってお裁縫をする機会は少ないですが、昔の人にとって針仕事というのは今よりもっと日常的で、着物や布団など、生活に必要な様々なものを自分たちで縫ったり直したりしていました。

日本では、そんな風に暮らしの道具として欠かせないものだった針を、丁重に供養する「針供養(はりくよう)」という行事が今に至るまで行われています。
必ず12月8日と2月8日のいずれか、または両方の日に行われるのですが、なぜその2日間に行うのかは、ちゃんと理由があるので、興味があれば調べてみてください。

具体的に何をする行事かというと、折れたり曲がったり錆びたりして使えなくなった針を、豆腐やこんにゃくなど、柔らかいものに刺して、神社やお寺に納めます。
「なぜ豆腐に?」と思いますよね。
豆腐にいっぱい針が刺さっている様子はちょっと面白いのですが、これは幾度となく布などに刺されて働いてきた針に、
「今まで力を貸してくれてありがとう」
「最後は柔らかいものの上で休んでほしい」
という感謝とねぎらいの思いがこめられているのです。
古来より日本ではどんなものにも魂が宿っているという考え方を大切にしていて、針以外にも人形や財布や靴など、身近なものが役目を終える時、供養をする風習があります。使えなくなれば消耗品としてただ捨てるのではなく、きちんとものへの感謝を表す習わしがあることは、とても素晴らしいなと思います。
そうやって物事にきちんとけじめをつけ、心を整理する役割もあるのかもしれません。

皆さんは日頃お世話になっている勉強道具やかばんなど、大切にできていますか?
鉛筆やペン、ノートや辞書、全て勉強を頑張るための大切な相棒たちですね。
4月から中学生になる人は、6年間背負ってきたランドセルともお別れの時が近づいているでしょう。
受験生はいつも使っているペンや書き込んだノートを携えて試験に挑むのではないでしょうか。
皆さんの努力にいつも寄り添っているいろんなものたち。
皆さんの頑張った軌跡がそこにしっかりと刻まれていくはずです。
それらに対して
「いつも頑張ってくれてありがとう」
「力をくれてありがとう」
という感謝の気持ちを忘れずにいてください。