今回は学校給食の話をします。

日本の学校給食は世界に誇るべき目的があることはあまり知られていません。
一般的に、日本の学校給食には4つの目的があると言われています。

1. 栄養の提供
2. 文化の理解
3. 社会性の育成
4. 食育の推進

1番目の「栄養の提供」は当然として、2番目の「文化の理解」についても実は世界共通です。
各国の給食は、まさにその国の文化的背景が如実に反映されています。
たとえば韓国ではキムチが欠かせないそうですし、メキシコではトルティーヤ(トウモロコシで作られた薄焼きのパン)、インドではカレーなどのスパイスの効いた料理が並ぶそうです。

ヨーロッパの中では日本に似ていると言われているのがフランスです。
フランスの給食は、前菜、メイン、チーズ、デザートと、まるでレストランのようにコース仕立てが一般的です。

さらに、アメリカのようにカフェテリア方式で提供されることも多いです。
実際にアメリカでは、ピザやハンバーガーのような定番メニューに加え、フライドポテト、サンドイッチ、サラダバーなど豊富なメニューの中から自由に選び取ることが可能です。

さて、ここで日本に話を戻します。

日本では給食の時間は「準備」「会食」「片付け」の3つに分けられます。
そして給食当番の生徒・児童は、手洗いをし、衛生的な服装に身を包みます。
重いものや熱いものに十分注意しながら教室まで安全に運び、配食では全員の分を盛りつけます。
会食が終われば、全員が協力し合いながら片づけを行います。
また、日本の給食は栄養バランスと安全性が徹底されています。
メニューは旬の食材をつかった和食が中心ですが、地域によっては郷土料理も登場します。

日本人は、給食の時間を通じて社会性を学ぶだけでなく「理想的な食事」もまた学校給食を通して学んできました。
その証左として世界の肥満率を比較すると、以下のようになります。

1位 トンガ 81.5%
36位 アメリカ 43.8%
43位 メキシコ 41.3%
165位 北朝鮮 13.4%
181位 フランス 9.8%
193位 韓国 5.7%
198位 日本 3.6%

日本の肥満率は驚くほど低いことがわかりますが、それ以上に世界の肥満率の高さにも驚いたのではないでしょうか。
アメリカのように子どもの時から好きなものを自由に選び取ることができるのは、羨ましいことのように見えます。
もしアメリカで日本と同じ給食制度に急に変更されたら「自由の侵害だ」と暴動が起きるかもしれません。
日本人である私たちは、あらゆる不自由さを犠牲にしながらも学校給食を通じて「理想の食事」を刷り込まれてきたのではないでしょうか。
そして、この「不自由さ」にこそ大切なことが隠されているような気がします。

能開に通うキミは、もしかしたら不自由な環境に身を置いているのかもしれません。
能開では、学習における自立を獲得するために、敢えて厳しいカリキュラムでキミを鍛えています。
ただ、当事者であるキミはその意味を見失っているかもしれません。
キミが受験生ならば、より不自由さを感じていることでしょう。

しかし、その不自由さを通じて、いかに大切なものをつかみ取ろうとしているのかに、今一度思いを馳せてみてください。
そして、思い出してください。本当に「給食の時間は苦痛の連続」だったでしょうか。
日本の学校給食には決して「自由」はないけれど、肥満率という視点で世界を見渡せば、その成果は歴然です。

能開生もまた同じです。
能開生であることに誇りをもって、頑張ってください。
キミたちが知らない間に身につけた能力は生涯の宝になるはずだから。