
先日、サッカー日本代表がブラジル代表に3対2で逆転勝利しました。
前半0対2からの大逆転――実質は親善試合ではありますが、まさに歴史的な一戦でした。
その勝因は、選手たちがピッチの中で自分たちで考え、修正し、声をかけ合えたことにあります。
監督の指示を待つだけではなく、一人ひとりが「今、何をすべきか」を判断して動いていた。
今の代表は、まさに“考えるチーム”です。
新しい選手の活躍もありましたが、その試合に守備の中心――冨安健洋(とみやす・たけひろ)選手の姿はありませんでした。
わからない人のために言うと、でかい。速い。うまい。両足で蹴れる。
ケガで現在はチームには所属していませんが、昨シーズンまでイングランドの強豪チーム、アーセナルに所属していました。
とにかく、すごい選手です。
冨安選手は現在けがのリハビリ中。
2026年のワールドカップへの参加は難しいかもしれないとも言われています。
それでもSNSでは、こう発信しています。
「今はただ早く戻りたい!サッカーしたい!それだけ!やるよ!」
この短い言葉には、焦りよりも強い覚悟を感じます。
「できない今」を嘆くのではなく、「今できること」を探し、積み重ねていく。
その姿勢こそが、彼の強さです。
冨安選手の原点は、Jリーグ・アビスパ福岡の下部組織にあります。
当時のコーチが「気づいたことをノートに書こう」と伝えたところ、
冨安選手のノートは、ページいっぱいに課題で埋め尽くされていたそうです。
「チームが苦しいときに声をかける」「守備のとき、一歩早く動く」――
細かなことを自分の言葉で書き留め、改善し続けていたのです。
コーチは当時のことを振り返って言いました。
「全部クリアしたら世界でやれると思っていたら、本当に世界へ羽ばたいた」と。
近代サッカーで重視されているのは、技術だけではありません。
「ポジショニング」――どこに立つか。
「コーチング」――どう声をかけるか。
自分の立ち位置を理解し、周りを見ながらチームを動かす。
その力を持つ選手がいるチームは、どんな相手にも対応できます。
冨安選手は今も、プレーできない時間を“次の準備の時間”に変えています。
焦らず、考え、気づき、行動する。
その積み重ねが、復帰への道を支えています。
どんな分野でも、伸びていく人は「気づける人」です。
まわりを見て、必要な声をかけ、少し先を読んで動く。
それが、チームを支える本当の力です。
冨安選手がもう一度ピッチに戻るとき、そこには“努力の続き”と“気づきの積み重ね”が見えるでしょう。
その姿は、どんな場所にいても前に進もうとする、すべての人の励ましになるはずです。










