みなさんは「三日・三月・三年(みっか・みつき・さんねん)」という言葉を耳にしたことがありますか。元は芸事や修行の心構えから来ている言葉で、「三日我慢すれば三ヶ月は耐えられる。三ヶ月耐えられれば三年は頑張れる。」という意味のようです。しかし、最近は会社に入社して辞めたいと考える時期(入社してからの年数)という意味で使われます。
みなさんに会社に入社してといってもピンと来ないので、中学生なら部活動、小学生であれば習い事を頭に浮かべてもらうとわかりやすいと思います。
先生の経験を話すと、先生は中学生の時、陸上部でした。といっても自分から陸上をしたいと思って入部したわけではなく、背が高く、小学校の時に市の陸上記録会で入賞したというだけの理由で半ば強制的に入部させられました。結果的には楽しかったのですが。
そのとき、まず入部して「三日」は、とにかくやること全てが初めてでがむしゃらに取り組みました。その練習量と先輩たちのスピードを目の当たりにして、さらには両足の筋肉痛に、これを続けていけるのかとても不安でした。周りの体験入部していた子たちも、無理だと思ったのか1人減り、2人減りの状態が続きました。結局、最初に来た半分の20人くらいが残ったと記憶しています。
「三月」が過ぎると、夏場に差し掛かります。炎天下、一番きつかったのは、練習最後にあった6Kmジョギングでした。ジョギングはとなり町の小学校までの往復なのですが、なんと顧問の先生が車で後ろから追いかけてくるのです。長距離が苦手だった先生は砲丸投げの友達といつも最後尾を走り、何度、車にひかれると思ったことか。この頃、練習がきついと言う理由とただ走っているだけではつまらないという理由で、野球部やテニス部に移っていった仲間がいました。
「三年」経つと、先生も高校生になり、入試で休んでいた陸上を再び始めようかとも思いましたが、元々やりたかったバレー部に入部しました。陸上をやっていたおかげで、練習にはすぐ慣れ、ジャンプ力も先輩と大差ないところからスタートできたのはちょっとうれしかったです。
さて、三日は文字どおり3日、三月は日数でいえば約100日。三年は日数でいえば約1,000日です。100日、1,000日という月日は、目に見える単に技術的な向上だけでなく、実は様々な経験が、目に見えない他にも通用する基盤を作り上げているのです。そのことは、自信へとつながり、新たなことにチャレンジするために再スタートを切る節目となることもあります。
この春から能開に参加した皆さん、そして三年以上会員を続けている皆さん、「地道」なコツコツの積み重ねこそが「自分」を作るのです。何事も辞めたいと思うときはあります。真剣に取り組む人ほど壁が立ちはだかるものです。しかし続けるために考え、悩み、工夫することが人としての成長を促してくれるものと信じます。
最後に能開五訓の言葉を贈ります。

「断じて中途でやめるな。中断はゼロである。」