151214先日、ふと街へ足を運ぶと、一人のストリートミュージシャンがギターを携え、道往く人に向かって音楽を提供しているところに遭遇しました。自前の歌詞でしょうか、中々の美声もあり、それなりの人の輪が出き、賑やかな景色が広がっていました。

また別の日、同じところで、前回と同じように一生懸命歌を歌うその人を見かけました。ところが喉の微妙な調子なのでしょうか、前回ほどのライブ感はそこにはなく、全く周囲に人々も見当たりませんでした。それでも堂々と歌い続けているうちに、調子を取り戻したのか、徐々に人も集まり前回と同じような光景が生まれていきました。

不思議なことにどうも同じことをしていても物事には時流によって優勢・劣勢が必ずあるようです。それは物事の進め方であったり、管理の問題であったり、気持ちや、体調や、運など自己内外様々なものが作用して表面に出てきます。

能楽を大成させた世阿弥は、これを「男時(おどき)」、「女時(めどき)」という言葉で表現し、その弟子たちに残しています。
「男時」とは、自らに勢いがある幸運な状態のことを言います。そういう時は油断せず、細かな小さなところに細心の注意を払わなければなりません。反対に「女時」とは、自分にどうも自信が無く、不安で仕方が無い、あるいは競合する相手のほうに勢いがある衰運のときのことを言います。その場合、例え不調が続いていても、失敗を恐れず、大胆に行動することが突破口になります。

いよいよ年の瀬も近づき、受験も近づいて来ました。受験生でなくとも、そろそろ来年度のことを考えて勉強していかなければなりません。

2015年も残り僅かになってきました。今、あなたはどこに立っているのでしょうか。あなたが男時に立っているのであれば、そういうときにこそ小さなことへの注意を怠らず、一歩一歩確実に歩んでいって下さい。小さなミスで足元が崩れないように頑張れ。
もし、今自分に自信が無いのなら、競合している相手に勢いがあると感じているのなら女時に立っているのかもしれません。だったら焦らず、そして失敗を恐れず諦めず、大胆な勝負をしかけていきましょう。誰にも負けない学習量に向かっていきなさい。
調子の波は誰にでもあるものですが、捉え方ひとつ、自らの導き方一つで道が開けてくるかもしれません。2015年が終わるその瞬間まで、先にある受験が「当日」に変わるその瞬間まで、諦めずに頑張って下さい。