ある夜、部屋でJSB3・ØMIのBLUE SAPPHIREを聴いていたとき、窓からふと空を見ると、きれいな三日月が出ていました。その日は雲一つなく、あまりの美しさに、しばらく時間を忘れてじっと眺めていました。

月と地球は兄弟星のようなイメージがありますが、実際、「潮の満ち引き」や「暦」など、人類とは切っても切れない関係を持ちながら共に歩んできました。そういった長年の深いつながりから、月にからんだ伝説も、太古から数多く残っています。

「月の桂」という言葉を知っていますか。古代中国では、月には約1500mもの高さの桂の木が生えていると考えられていました。昔、月に奇妙な男が住んでいました。その名は「桂男(かつらおとこ)」。本名は呉剛と言い、元々は唐の西河にいましたが、あるとき、月の宮殿に咲く桂の花に不老不死の効能があることを知り、満月の日だけにかかるはしごを使って、それを採りに月へ行きました。そこで、彼は花を独り占めしようとしたために神の怒りを買い、罰として、その巨大な桂の木を斧で伐ることを命じられます。しかし、斧を入れても伐り口はすぐにふさがってしまうので、彼は桂の木を永遠に伐り続け、不老不死のまま、月に閉じ込められました。桂男の伐採の調子が良く、どんどん枝が伐り落とせたときに月はどんどんと欠け、伐られた枝から新しい芽が出てぐんぐんと木が伸びるときに月は満ちる。月の満ち欠けには、そんな言い伝えがあります。

桂男が永遠に木を伐り続けているように、月もまた、地球の周りを休むことなく永遠に回り続けています。もし月がなかったら、地球は超高速で自転し、地軸の傾きが変わることの影響も受け、恐らく多くの生命が絶滅するでしょう。逆に言えば、月のおかげで、地球環境が絶妙なバランスで成り立っているのです。当たり前のように存在する月のありがたさに改めて気付かされました。そんな神秘的で清らかな月を愛でるときは、やはり遠くから眺めるのがいいですね。(月への感謝も忘れずに。)