最近、テレビ番組(ほんまでっかTV)に出演をされていた斎藤孝先生の「子どもと声に出して読みたい実語教」という本を読みました。斎藤孝先生は明治大学文学部の教授です。実語教とは平安末期~明治初期まで広く用いられていた初歩の道徳の教科書です。

江戸時代では寺子屋でも広く活用されていました。斎藤先生は「実語教」のことを「日本人千年の教科書」と呼んでいます。よく考えると1000年間も読み続けられた教えってすごいですね。その中には心に残る教えがたくさんあったのですが、今日はその一つを話してみたいと思います。

実語教の中に
「習い読むといえども復せざれば、只(ただ)隣の財を計うるが如し。」
とあります。どういうことでしょうか。

勉強をするのも、本を読むのも、一度だけではなく繰り返しやらなければ、ただ隣の財産を数えるようなものです。それだけでは自分のものになりませんよ。という意味です。

昔の人は、いい本を何度も何度もすりきれるほど読みました。今は、インターネットの時代で情報はいくらでも手に入ります。勉強に関しても、問題集や参考書もあふれていますが、それを一度読んだだけ、解いただけでは理解をできたとはいえません。

今から予習をしたいので、新しい知識が必要ですという人は別ですが、今まで習ってきたことで身についていないと感じている人は、繰り返し繰り返し、今までしてきた問題集を自分のものになるまでやってみましょう。中学3年生であれば百戦錬磨ですね。

良い問題集を何回も繰り返しやって解き方を完全にマスターしてしまうと、初めて見る問題でも「これはあの問題とあの問題の組み合わせだな」と気づくようになります。応用ができるのです。1回や2回解いただけだと、なかなかそこまいきつきません。

受験前になると、何か別に新しいことをしないと…と、浮足立つ生徒もみられますが、そういう時こそ、今までやってきたことを自分のものにできたという感覚までやってほしいですね。

新型コロナウイルスが日本に上陸して2年。もはやマスク姿、黙食は当たり前、「ソーシャルディスタンス」「濃厚接触」など、当初は「???」だった用語もすっかり市民権を得てしまいましたね。一刻も早く、元の健全な生活に戻る日々が来ることを願うばかりです。

さて、そんなコロナウイルスが日本に初上陸した2年前、こんな情報が出回ったのをご存知でしょうか。(全文は長いので一部抜粋です)

私の知り合いが中国のウイルスの研究者で、今回のコロナウイルスは非常に熱に弱いことが判明しました。

今回のウイルスは熱耐性が弱く、26~27℃の温度で死滅します。したがって、より多くのお湯を飲んでください。ウイルスは低温の中で長期生存するので、冷たい水を飲まないでください。冷たいものも厳禁です。

さて皆さん、この情報を見てどう思いますか?

結論から言うと、これは真っ赤なウソ、デマです。そりゃそうだ。

で、大事なのはここから。実は別に科学的な知識がなくても、小学生でも、なんならそれ以下の年齢でも、この情報はウソだとわかるんです。どこでわかるでしょう?

まだわからないそこのあなた。あなたの体温は何℃ですか?

・・・はい、もうわかりましたね。もしウイルスが26℃で死滅するなら、人間に感染するはずがありません。人間の体温は大体36℃前後ですから、ウイルスは肌についた瞬間に死んでしまうことになります。

さて、問題なのはデマが出たことではなく、これを多くの人が信じてしまったことにあります。このデマツイートはいくらかバリエーションがあり、中には市のアカウントなど公共のアカウントがこのデマを信じ、拡散してしまったこともあったそうです。

ではなぜ「ちょっと考えればわかること」に、多くの人がだまされてしまったのか?

いろいろ考えはあると思いますが、私はこう思います。「頭を使っていなかったからなのだ」と。「多くの人に拡散されているから正しい情報に違いない」、「研究者が言っているなら正しいに違いない」。そう思考停止した結果、デマに乗ってしまったのだと。

私は仕事上、皆さんに「勉強しろ」と言い続けていますが、本当のところはこうです。「頭を使え。」私が言うのもなんですが、別に勉強ができなくても幸せな人生を送ることは十分できるでしょう。そういう意味では、勉強はできなくてもいい。

ただし、「頭を使わない」、これはダメです。そしてその頭を使う訓練として最適なのが、勉強なのですね。

この多くの情報渦巻く世の中で生き残り、幸せに生きるために。皆さん、頭を使う訓練を怠らないようにしていきましょうね。

今日は2月14日、バレンタインデーですね。

以前から訪れる店の先々でバレンタインのコーナーが設けられ、甘い匂いが漂っていました。チョコレート好きの人間としては最も心が躍る時期です。バレンタインといえば日本ではチョコレートを贈り合う日、と思いがちですが、その起源は知っているでしょうか。

諸説ありますが一番有名な起源は、イタリア人のヴァレンティヌスという司教が処刑された殉教記念日です。269年頃、当時のローマ帝国では「若者が兵士として戦争に行きたがらない」事が問題視されていました。その理由を「愛する者や家族と離れたくないからだ」と考えたローマ皇帝が、遠征兵士に向けて結婚禁止令を出しました。そんな状況下でヴァレンティヌス司教は若い兵士の結婚をこっそりと執り行います。しかしそれが皇帝に知られ、不興を買うものの法に背き続けたため、2月14日、処刑されるに至ります。

彼が殉教者となった命日でもありますが、若い兵士のために命を賭した彼の愛ある行動が国民の間で広まり、14世紀頃に恋人たちの日としてバレンタインデーとなりました。

バレンタインデーというひとつのイベントも、掘り下げてみればこのようなドラマがあります。物語を知れば、自然と頭に入ってきませんか。社会など暗記科目が苦手な人は、単語や事象だけを覚えようとして、「点」で捉えがちです。事柄ひとつ取ってもその背景を知り、流れを掴む事で、驚くほどスルッと飲み込めたりします。歴史だけが物語性を持つのではありません。地理でも公民でも物理でも、すべての事柄には背景となる物語が眠っています。苦手な科目や分野ほど、掘り下げてみれば新しい世界が見えますよ。

せっかくのバレンタインデーですので、チョコレートをつまんでから勉強に励んでみてください。脳のエネルギー源として必要なブドウ糖がチョコレートには多く含まれているため、学習前に食べると効果を発揮してくれます。

先生は先日、オンラインショップで自分用に2箱買いました。しばらくの間体重計には乗りません。

みなさんはテストの後に解き直しをしていますか?

テストは準備も大事ですが、終わった後の解き直しも大事です。
ただ、間違えた問題の正しい答えを確認するだけでは、十分な解き直しとは言えません。
解き直しは自分のできなかったところをきちんと見返し、次のテストでできるようにすることが目的です。
そのためには、まず自分の間違い方を正しく把握しなくてはいけません。
例えば、計算ミス1つ取ってみても、途中式を書かずに暗算したからミスしてしまった。
先に約分せず、最後にまとめて約分したからミスしてしまった。
字を雑に書いていて、0と6を見間違えてしまった。
など中身はさまざまです。

それを計算ミスと一括りにしてしまっては正しく把握できません。
そして、その間違い方と同じ間違いを繰り返さないように、日々の勉強の内容や方法に落とし込む必要があります。
それを繰り返していくことで学力は伸びていきます。
つまり、テストの答案用紙はみなさんの学力を伸ばすヒントがたくさん詰まっている「宝箱」です。

みなさんそれぞれ自分の大事なものは大切に扱っていると思います。
みなさんテストは大切に扱っていますか?
返ってきてどこにいったかわからないテストはありませんか?
これからはぜびテストを大切に扱ってください。そして、きちんと解き直しをしていきましょう!

皆さんは「ながら勉強」というのを聞いたことがありますか? 勉強をしているときに…

・音楽を聞いている
・テレビがついている
・机の上が散らかっている
・手元のスマホがどうしても気になる
・マンガやゲームに手が伸びてしまう

なんてことはありませんか? 先生や保護者の方に注意されたことがあるかもしれません。「やってはいけない」と分かってはいる。でも、どうしても気になる……。ついやってしまう……。その気持ち、分かります。

複数の作業を同時におこなうことを、「マルチタスク」というそうです。そして、マルチタスクについて知っていてほしい研究データがあります。

  • 脳はマルチタスクができるようにはなっておらず、絶えず必死に切り替えているに過ぎない
  • マルチタスクのときのIQ(知能指数)の低下は、禁止の薬物を吸っているときの2.5倍である
  • マルチタスクで、脳のストレスは3倍以上になる
  • マルチタスクで、集中力は30%に低下する
  • マルチタスクは、短期記憶や脳機能に障害を及ぼす(脳が縮小してしまう)

実は、マルチタスクはこんなに恐ろしいのです。

ただ、安心してください。決して、「テレビ・マンガ・音楽・スマホ・ゲームなどの時間を0にしなさい」と言っているのではありません。大切なのは「けじめ」です。「○時までは」「この課題が終わるまでは」と時間を区切ります。そして、集中して勉強したあとは、キチンと息抜きの時間を取ったらいいのです。また、スマホやマンガなど気の散るものは手元に置かないようにしましょう。スマホの置き場所でオススメなのは、玄関です。物理的にも心理的にも遠い場所に置けば気になりませんし、お出かけするときに忘れることもありません。ほら、一石二鳥です!

正しい家庭学習の習慣は、一生の宝となります。それは、現学年の教科書内容を理解することよりも貴重なものです。家庭学習を通して、学年が上がっても、社会に出ても通用する姿勢を培ってほしいと思います。

ここ最近、学習方法が多岐に渡るようになりました。様々な書籍やYouTubeを覗くと、受験に合格するための方法として、様々な学習アドバイスが溢れていますね。

皆さんも一度は目にしたことがあるはずです。

どれもこれも良さそうで一度試してみよう!と思う一方で、その中から自分に合った最善の方法を見つけるのはなかなか難しいのではないでしょうか。

そもそも考えてみると、皆さんの性格や環境、学力、学習状態、得意科目、苦手科目、志望校、将来の夢は人それぞれ。
成功方法が自分にマッチすれば問題なし!
様々な要因はありますが、全員に全員、その成功法がマッチしないのも事実です。

成功の方法が無限に存在するとして、失敗の方法は、いつの時代も誰にとっても共通と言えるのではないでしょうか。

①学習量の不足
②スマホが手放せない
③教えてもらうことが前提の学習
④アウトプットをしない
⑤やる前から諦める

これらが、勉強における失敗の代表例です。

失敗方法が不変で共通なら、それらを自身の勉強方法から取り除けば、自然と成功に近づいていくことは間違いありません。

みなさんはこれから、次を意識してみて下さい。

①学習時間を確保する。
②スマホはルールを作る。
③解説を読み込み、理解しようと努める。
④理解した問題をもう一度自分の力で解いてみる。覚えたならば、自分でテストをしてみる。
⑤とことん向き合う。

まさに、「勝ちに不思議の勝ちがあっても、負けに不思議の負けなし」です。
新学年が始まる今こそ、学習方法の見直し改善を行い、新学年で良いスタートをきりましょう!

2022年も始まりました。受験を控えるみなさんにとってはいよいよといった感じでしょうか。

ところで、皆さんは「アポトーシス」という言葉をご存知でしょうか?アポトーシスは細胞死の1つです。細胞死というとマイナスなイメージにつながりそうですが、決してマイナスなことではなく、生物がより良い状態を作り出すため、もしくは新しい体を作り出すために必要なものです。

例えば、カエルはおたまじゃくしからカエルに体を変化させるときに尾がなくなります。また、蝶はサナギの状態になったときに一旦体をドロドロの液体状に溶かしてしまいます。これらはこの先の変化のために必ず経るべき過程なのです。

さて、これから受験を控える皆さんにとっては追い込みの時期となりました。この追い込みの時期によく起きてしまうのが勉強しているにも関わらず成績が下がってしまうという現象です。

これは受験直前期によく起きてしまう現象ですが、勉強すればするほど同時に不確かな知識が増えてしまうことによって起きてしまいます。受験直前期にこのような状態になってしまうと、ものすごく不安な気持ちになりますが、大丈夫です。

それは先ほどのアポトーシスと同じでより良い状態を作り出すために必ず通らないと行けない道なのです。そんなときは慌てず過去に自分がやってきたことをもう一度復習してみましょう。そうすると頭の中が整理されて前よりもより良い状態が作れるはずです。

サナギからきれいな蝶になるために、もうひと踏ん張りです!

どちらが表か。もちろんみなさんが買った時に見えている面が表になります。当たり前のように思えますね。でも、よく考えてみてください。いつも通りに手で巻き取っていてください。さあ、手に巻きついている紙の見えている部分は表と裏のどちらでしょうか。いつの間にか裏が表面にきていませんか?

実のところ、使用するときは裏を使っていることがあります。では、表と裏で肌触りは違うのでしょうか。触ってみるとわかりますが表面の方がさわり心地がいいのです。さわり心地の良い面を使わないでいるのです。できたら肌触りの良い面を使いたいですね。

ところで、みなさんは目の前にある参考書を正しく使えているでしょうか。どのような場面で「さくいん」を使うのか。どんなときに「目次を使えばいいのか」正しい使い方をしなければ気持ちの良い使用感は味わえません。

さあ、早速今日から参考書の使い方を確認してください。多くの場合、最初の方に書かれています。参考書の正しい使い方を身につけて気持ち良く学習できるようにしていきましょう。

読んだ本に書かれていた話です。

その人の家の周辺で、ガス・水道の工事をずっとやっていたようで、そこに、あまりに素敵な警備員さんがいたのだそうです。

どんな警備員さんだと思います?

工事の現場に警備員さんっていますよね。工事をする人ではなく旗をふったり、交通を整備したりする人です。今回、その人の家の近所を担当した警備員さんはすごかったらしい。

たとえば、通行するところにプレハブ板2枚を置いて作業していたそうですが、板2枚の段差ができるから高さがでるわけです。歩いて渡るぶんには問題ないのですが、自転車で渡るときにはタイヤがぶつかってしまいます。

だから、その警備員さんは常に気を配っていて、遠くから自転車が視界に入ったら即座にプレハブ板を1枚取って、自転車でも通行しやすいようにしたのだそうです。その動きがまた機敏で、無駄がなく、笑顔も実に気持ちが良かったとか。

遠くからでも目があうと「ご迷惑をおかけしています」という感じで、深々と頭を下げるのだそうです。

感心した近所のおばさんのひとりが、工事現場の責任者に声を掛けました。
「あの警備員さん、すごいですね。対応がものすごく気持ちいいから、工事の騒音が気にならなくなりました」

すると責任者の人はこう言ったそうです。
「本当に彼には助けられています。

彼はNO.1警備員です。

 本来、工事は音がうるさいから、いつもクレームがひどいんです。わたしたちもこれが仕事だからしょうがないんですけど。でも、彼が警備を担当してくれたところは、

クレームどころか近所の方に感謝されてしまうんです

やるじゃないか。NO.1警備員!あなたに会ってみたい!
ひとりひり輝けばいい。そうすれば全体ももっと輝く。

小学校の教科書にも載っているSDGs(エスディージーズ)。2016年から2030年までの持続可能でよりよい世界を目指す国際目標、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、17の目標(Goal)と169のターゲットから成ります。貧困・格差の撲滅をはじめ、持続可能な世界を実現するために、国際社会全体が取り組むべき目標です。今や入試でも就職活動でも、SDGsの話題は必須となりました。

17の目標は以下の通り。カラフルなSDGsポスター・ロゴはもうおなじみですね。

  1. 貧困をなくそう
  2. 飢餓をゼロに
  3. すべての人に健康と福祉を
  4. 質の高い教育をみんなに
  5. ジェンダー平等を実現しよう
  6. 安全な水とトイレを世界中に
  7. エネルギーをみんなに・そしてクリーンに
  8. 働きがいも・経済成長も
  9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
  10. 人や国の不平等をなくそう
  11. 住み続けられるまちづくりを
  12. つくる責任・つかう責任
  13. 気候変動に具体的な対策を
  14. 海の豊かさを守ろう
  15. 陸の豊かさも守ろう
  16. 平和と公正をすべての人に
  17. パートナーシップで目標を達成しよう

このアイコンの、目標の順序はどのように決まっているのだろう?と疑問に思ったことはありませんか?こう思った時、私もみなさんと同じように、調べ学習をしてみました。

調べてみると、5つのグループに分けられていました。
目標は[1、2、3、4、5、6]・[7、8、9、10、11]・[12、13、14、15]・[16]・[17]でグルーピングされています。さて、どういうグループなのでしょう?

17の目標は、「People(人間)」、「Prosperity(豊かさ)」、「Planet(地球)」、「Peace(平和)」、「Partnership(パートナーシップ)」の順に並んでいます。5つのPがキーワードになっています。目標が整理され、イメージがしやすく、SDGsの本質の大枠が分かりますね。

  • People(人間):1、2、3、4、5、6
    すべての人の健康的な生活、平等、教育環境などの保障をめざしています。
  • Prosperity(豊かさ):7、8、9、10、11
    すべての人が経済的に持続し、充実した生活を送れるようにします。
  • Planet(地球):12、13、14、15
    温暖化、海水面の上昇など多くの危機に直面する地球環境を破壊から守り育てます。
  • Peace(平和):16
    あらゆるレベルで暴力や恐怖を排除し、平和な世界をめざします。
  • Partnership(パートナーシップ):17
    国際機関、政府、企業、社会、市民など多様な参加者がグローバルなパートナーシップを維持・推進します。

目標の並び方にも意味があったのです。この世界共通の目標は、2030年に目標達成できるのでしょうか?実際は、環境問題やコロナの影響などもあり、2030年の目標達成への見通しは厳しいようです。ですが、一人ひとりの、各企業の、各国の、知恵や力の結集と、目標に向けて一歩一歩が大切です。そして、平和あってこそのSDGsだと思います。

来年も平和でよい年になりますように。