2003163月になり、庭先を見ると、硬い冬の地面を押し上げ、植物たちがむくむくと春に向かって成長していく気配を感じとることができます。
毎年、植物たちが春へ向かう姿を見ると、その生命力の強さとしたたかさに感動を覚えます。植物たちは、寒い冬の間に根を地中に伸ばし、春に花を咲かせるための土台を築いているのです。

新型コロナウィルスへの対応で、例年とは違う3月になりました。
学校も休校になり、さまざまなスポーツイベントも中止になったり、無観客で実施されたりと、日本中がひっそりと息をひそめているような状態の中、『失われた3月』などという見出しのニュースが飛び交っています。皆さんの中にも卒業式や合格発表など一生に一度の行事が例年とは違う形になり、寂しい思いをしている人も多くいると思います。

けれど、すべてが失われ奪われてしまった時間ではありません。『失われた3月』が残したもの、それは皆さんが普段当たり前に受けとめていること…学校や塾で出会う友だちや先生たちと笑いあう時間の楽しさ、登校して教室で勉強ができること、部活動で思いきり身体を動かすことのできる喜び…こういった『当たり前の時間』のありがたさを改めて体感できたことだと思います。

今回の経験は、春に芽を出す植物のように、皆さんの人生でしっかりとした根をはり、伸びていく大きな力となることでしょう。時間を取り戻すことはできません。でも失った時間を思い、悲しむのではなく『失われた3月』が残したものに力を見出し、新たな春への活力としてください。春は、もうすぐそこまで来ています。