みなさんは、ミツバチの「分蜂(ぶんぽう)」という現象を見たことがあるでしょうか。
一つの巣に新しい女王バチが生まれるとき、それまでの女王バチが、群れの半分ほどのはたらきバチを引き連れて新しい家を探す旅に出る、いわばミツバチの「お引越し」のことです。
先日、先生はこの大変珍しい瞬間に、思いがけず立ち会うことができました。
ある日のこと、出かけようと玄関の扉を開けた瞬間、目の前に無数のミツバチが空を舞っていました。
異様な光景に驚き、慌てて扉を閉めて窓から外を覗くと、庭中を飛び交うハチの数はみるみるうちに増えていきます。

「異常気象のせいで大発生したの?」
「すぐに駆除業者を呼ばなきゃ…」
と、先生の頭の中は完全にパニック状態でした。

しかし、恐る恐る観察を続けていると、庭の木の枝に、無数のミツバチがぎゅっと身を寄せ合い、まるでラグビーボールのような大きな塊を作っていたのです。
一見すると少し怖く見える光景ですが、実はこれ、はたらきバチたちがみんなで体を張って、中央にいる大切な女王バチを守っている姿だったのです。
誰かを攻撃するためではなく、みんなで力を合わせて新しい未来へ進もうとする、優しくて強い行動。その本当の理由を知ったとき、先生はとても感動しました。
先生は大人ですが、この歳になっても「分蜂」という自然の神秘を目の当たりにしたのは、生まれて初めてのことでした。
それくらい、一生に一度出会えるかどうかの珍しい瞬間だったのです。

私たちは、毎日たくさんのことを見て、聞いて、過ごしています。
でも、世界にはまだまだ、先生たち大人も知らない「不思議」や「感動」が、宝探しのようにたくさん隠れています。
最初は「怖い」「なんだろう?」と思ったことでも、一歩踏み込んでその理由や仕組みを知ると、世界がパッと輝いて見えるようになります。
これこそが、何かを「学ぶ楽しさ」であり、「知る喜び」です。
ぜひ、毎日の生活の中で「どうしてかな?」「もっと知りたいな!」というワクワクする気持ちを、大切に育てていってくださいね。
因みに、この無数のはたらきバチたちは、2時間ほどすると、またみんなで一斉に次の新天地へと飛び立っていきました。